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ソーシャルログインとは? 企業とユーザー双方のメリット・デメリット

企業が会員制機能付きのWebサービスを運用する場合は、いかに会員登録のハードルを下げて多くのユーザーに会員になってもらうかが重要になります。会員を増やす方法としては、おもに「会員登録のメリットをつくる」「登録時の入力内容をできるだけ少なくする」の2種類があります。後者の方法のひとつとして普及しつつあるのが「ソーシャルログインの導入」です。今回は、ソーシャルログインの概要、メリット・デメリット、ソーシャルログインの導入方法をお伝えします。

ソーシャルログインとは?

ソーシャルログインとは、SNSを中心としたWebサービスのアカウント(ソーシャルアカウント)を利用して、他のWebサービスにログインをする仕組みです。

会員登録の画面に、ログインに利用できるSNSなどが表示されます。そのなかから、すでに登録しているものを選択するとアカウント連携が自動で行われ、新たなWebサービスへの登録が完了するのです。次回以降は、登録に使ったソーシャルアカウントでログインできます。

ソーシャルログインが普及している背景

ソーシャルログインには、ユーザーと企業の双方にさまざまなメリットがあるため、導入が進んでいます。

ソーシャルログインを選択するユーザーが増えている背景には何があるのでしょうか? ふたつの調査結果から考えてみましょう。

株式会社フィードフォースが2020年3月に発表した「ソーシャルログイン利用状況調査2020」によると、ソーシャルログインを行うユーザーの91.5%がスマートフォンを利用してソーシャルログインをしたと回答しています。

一方、LINE株式会社が実施した「インターネットの利用環境 定点調査(2020年下期)」によると、スマートフォン(スマホ)だけを使ってインターネットを利用するユーザーは全体の50%でした。「スマホとPC」の併用44%や「PCのみ」2%を抑えてもっとも大きい割合です。同調査は定期的に実施されており、2016年4月の調査開始以降、「スマホのみ」「スマホとPC」でのインターネットの利用が増加傾向にあるとしています。

これらの調査結果から、

  • スマートフォンを使ってインターネットを利用するユーザーのソーシャルログインの利用率が高い
  • スマートフォンを使ってインターネットを利用するユーザーの増加が、ソーシャルログインの普及の背景のひとつにある

といったことが推測できます。

ソーシャルログインの種類とその特徴

おもなソーシャルログインの種類と特徴を紹介します。

LINE

利用者数が多く、幅広い年代層をターゲットとしたサービスのソーシャルログインに向いています。前出の「ソーシャルログイン利用状況調査2020」では、2019年2月から2020年1月の1年間でソーシャルログインを利用したユーザーの、じつに64.5%がLINEログインを利用していました。

LINEのソーシャルログインを使ったユーザーを、LINEの「自動友だち追加機能」を活用して、自社サービスの登録と同時に企業のLINEアカウントに友だち追加もできます。

Yahoo! JAPAN

「ソーシャルログイン利用状況調査2020」では、パソコンからソーシャルログイン機能を使ったユーザーの44%(2019年)がYahoo! JAPANアカウントを利用しています。スマートフォンの利用率が高くパソコンの利用率が低いミレニアル世代よりも、比較的年齢層が上のユーザーが利用していると考えられます。

Yahoo! JAPANにはショッピングサービスもあるため、住所情報を取得できるのも大きな特徴です。

Google

PC、スマートフォン、タブレットと、デバイスを選ばず平均して利用されています。そういった意味で、運用するWebサービスの利用者層に関係なく、導入を検討することができます。

Apple

Apple IDを使ったソーシャルログインです。日本ではiPhoneユーザーが多いため、導入する価値が高いかもしれません。また、Face ID(指紋認証機能)やTouch ID(顔認証機能)などを使ってのログインが可能になるため、その利便性をアピールポイントとすることもできるでしょう。

Facebook

Facebookは実名登録が基本のSNSのため、提供するサービスで実名の取得が必要な場合に便利なソーシャルログインです。Facebookログインを利用した場合、固有のIDを取得でき、これをリターゲティング広告に使えるため、ECサイトでは大きな効果を発揮するでしょう。

Twitter

日本では利用者の多いSNSですが、前出の「ソーシャルログイン利用状況調査2020」によると、Twitterのソーシャルログインを利用したユーザーは5.1%とLINEの10分の1以下です。また、ひとりで複数のアカウントを使い分けているユーザーも多いため、その点を理解したうえで導入する必要があります。

Instagram

日本ではあまりソーシャルログインとして利用されていません。Instagram自体は若い女性ユーザーが多いため、そうした層をターゲットとしたWebサービスであれば、検討の余地があるでしょう。

以上のほかに、Amazonや楽天などのソーシャルログインもあります。まだあまり普及していませんが、Amazon Payや楽天ペイなど多くのユーザーが使い慣れた決済サービスが提供される点が強みとなり得ます。自社が運用するWebサービスの特性を考慮して検討するといいかもしれません。

ソーシャルログインを導入するメリットとデメリット

ソーシャルログインを導入することで、企業、ユーザー双方にどういったメリットとデメリットがあるのでしょうか。

企業側のメリット

  • ソーシャルログインの種類によってはセキュリティが高まる
    ソーシャルログインの種類によりますが、2段階認証を採用している場合は、おのずとログイン時のセキュリティが高まります。
  • より詳細なユーザー情報が得られる
    ソーシャルログインの種類にもよりますが、氏名・住所・電話番号・メールアドレスといった基本情報のほか、趣味、職歴、学歴、誕生日などの情報を得られます。より詳細なユーザー情報をもとに、ユーザーに合った情報の提供が可能です。

ユーザー側のメリット

  • スマートフォンユーザーの利便性向上につながる
    スマートフォンは外出時に利用することも多いでしょう。ソーシャルログインであれば、周囲の目を気にしながらIDやパスワード入力をする必要がありません。
  • 登録の際の手間がなくなる
    通常の会員登録では、氏名・住所・電話番号・メールアドレスといった個人情報を入力する必要があります。ソーシャルログインであれば、すでに入力済の情報を利用するため、入力の手間を抑えて登録が可能です。
  • IDやパスワードを記憶しておく必要がない
    ソーシャルログインは、登録時だけではなく、そのサービスを利用する際のログイン時に毎回利用することが可能です。そのため、「IDやパスワードがわからなくなってログインできない」といったトラブルが減少します。
  • 自身の趣味趣向に合った情報を入手できる
    ソーシャルログインを利用すれば氏名・住所・電話番号・メールアドレスといった基本情報だけでなく、趣味や職歴

企業側のデメリット

  • サービスによって得られる情報が異なる
    ソーシャルログインの種類により登録されている情報が異なるため、取得できる情報は同じではありません。ユーザーが選択するソーシャルログインによっては、自社が求める情報が入手できない場合もあります。
  • SNS側の仕様変更に影響を受ける
    ユーザーが利用しているソーシャルログインの仕様変更があった場合、これまで取得できていた情報を取得できなくなってしまうといった可能性があります。

ユーザー側のデメリット

  • サービスによっては追加で情報入力が必要になる
    利用するソーシャルログインの種類によっては、追加の情報を入力しなければならない場合があります。
  • SNS側の仕様変更に影響を受ける
    利用しているソーシャルログインの仕様変更があった場合、ログインができなくなってしまう可能性があります。

ソーシャルログインで気になる個人情報の扱いは?

ソーシャルログインを導入する際、気をつけなくてはならないのが個人情報の扱いです。

ソーシャルログインによってさまざまなデータを取得できるのは、企業にとって大きなメリットです。しかし、なんらかの理由で、集めた個人情報の漏えいが起これば、ユーザーに大きな損害を与えるだけでなく、企業の信頼性にも大きく影響がおよびます。

そのため、ソーシャルログインを導入するにあたっては、サービスの提供に必要な情報のみの取得にとどめることと、万が一に備えて、取得した情報を厳重に管理することが求められます。

ソーシャルログインの導入方法

ソーシャルログインの導入にはいくつかの方法があります。代表的な方法を以下のとおりです。

  • 各SNSで提供されているAPI Keyを取得して開発する方法
  • 外部のサービス(ASP)を使う方法

なお、自分で実装すれば無料での実現も可能です。例としてLaravel SocialiteやAmazon Cognitoを使う方法があります。そのほか、有料の外部のサービスとして「ソーシャルPLUS」や「Auth0」もあります。

しかし、いずれにしても、プログラミングの知識がなければ簡単には設定できません。

そこで、おすすめなのがVALUE KITです。VALUE KITの部品のひとつ「会員ソーシャル」という機能は、SNS連動処理を行えるため、ソーシャルログインの導入が比較的容易にできます。

また、会員登録の簡素化や会員2段階認証機能の追加もできるため、ソーシャルログインを使わずに会員登録をするユーザーに対しても、ハードルを下げられるうえ、セキュリティ強化も可能です。

会員制サービスを行うならソーシャルログインの導入を前向きに

会員登録をしてもらい、そのなかでさまざまなサービスを提供することは、ユーザーとの関係強化につながり、満足度向上を実現します。しかし、その前段階である会員登録のハードルが高いと、肝心のサービス提供も行えません。重要なポイントは、会員登録やその後のログインのハードルをできるだけ下げて、気軽に利用してもらえるような施策の実施です。

ソーシャルログインの導入によって、ユーザーの会員登録やログインのハードルを下げられます。加えて、より多くのユーザー情報の入手が可能になるというメリットがあります。会員制サービスを提供するなら、ソーシャルログインの導入を検討してみましょう。

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