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ECサイトをオープンソースソフトウェアで構築! 企業が知っておくべきことは

ECサイトをオープンソースソフトウェア(OSS:Open Source Software)で構築したいという要望を持つ企業は多いでしょう。たしかに、OSSはライセンスが無料なため、低コストでECサイトの構築が可能です。しかし実際にECサイトを構築しようとすると、技術的な難しさやセキュリティの脆弱性など、注意しなければならない点がいくつもあります。企業がOSSでECサイトを構築する場合のメリット、注意点を説明したうえで、おもなOSSパッケージを紹介します。

オープンソースソフトウェアで企業のECサイトを構築するには

OSSとは、ソースコードが公開されているプログラムのことです。原則無料で、ユーザーのスキルに応じて、そのまま利用したり、自由にカスタマイズして利用したりすることが可能です。複製や改変も自由で、自社で改変したものを再配布することもできます。OSSは無料で利用できるため、パッケージソフトウェアより機能や品質が劣るのではと思う人もいるかもしれませんが、そういうわけではありません。

現在さまざまなジャンルのOSSがあり、ECサイト構築のためのパッケージも複数公開されています。そのため企業のECサイトをOSSで構築することは可能ですが、高い技術力やセキュリティの知識などが必要になります。

どのような費用がかかるのか

OSS自体は無料で利用できますが、ECサイトの構築には、プログラム以外にも発生する費用があるため、完全に無料では構築できません。それでも、OSSを利用すれば、かなりコストを抑えることが可能です。

OSSを利用してECサイトを構築する場合は、次のような費用が必要です。

  • プログラム
    料金はかかりません。
  • サーバー代
    OSSをインストールしてECサイトを構築するサーバーです。レンタルサーバーやクラウドサービスの利用が多く見られますが、自社内にサーバーを用意する場合もあります。価格の目安はクラウドサービスの場合数千円~数万円/月で、性能や容量、セキュリティレベルなどにより異なります。
  • ドメイン代
    ECサイトの「住所」にあたるドメインを取得・維持する手数料です。価格の目安は数千円~数万円/年です。
  • 決済手数料
    ECサイトには代金決済機能が必須ですが、決済機能を使う場合は決済手数料が発生します。決済手数料は決済手段によって異なり、クレジットカード決済で3~10%、コンビニ決済で2~5%、電子マネー決済で3~4%程度です。
  • ECサイトのデザイン費用
    公開されているテンプレートを使わず、独自のデザインにする場合にかかる費用です。有料のテンプレートなら数千円~数万円、Webデザイナーにデザインを依頼する場合は、通常数十万円~数百万円程度が目安です。
  • ベンダーによるサポート
    OSSでECサイトを構築するためのサポートをベンダーに依頼する場合に必要です。自社に技術者がいれば、不要になることもあります。価格の目安は、初期費用が数十万円~数百万円、ランニングコストが数千円~数百万円/月程度です。

どの項目も、料金は構築するECサイトの規模や依頼する業者、内容によって大きく異なります。

オープンソースソフトウェアでの構築はどういう企業に向いているのか

OSSを利用したECサイトの構築は、次のような企業に向いています。

  • 社内に十分な技術力のある企業
    構築の際はOSSの知識があるスタッフはもちろん、ECサイトに対する知識のあるスタッフ、自社の商材に対する知識のあるスタッフなど、さまざまなスタッフが必要になります。また、ECサイト構築後にも、不具合対応やセキュリティ対策、こまめなアップデートなど、さまざまな作業が発生します。そのような対応が可能な技術力が社内に十分ある企業は、OSSを利用したECサイト構築が向いているといえます。
  • 自由にカスタマイズしたい企業
    OSSはECパッケージソフトやクラウドサービスよりもカスタマイズの自由度が高く、技術力さえあれば自由なカスタマイズが可能です。自社の要件や希望が厳しく、大幅にカスタマイズが必要という場合にはOSSが向いています。また、自社のイメージを重視している企業や、他社と差別化したい企業にも向いています。
    構築の際はOSSの知識だけでなく、ECサイトに対する知識のあるスタッフ、自社の商材に対する知識のあるスタッフなど、さまざまなスタッフが必要になります。

以上の条件にあてはまらない企業は、ほかの方法を選ぶか、OSSでの構築が得意なベンダーにサポートを依頼するかするといいでしょう。

ECパッケージソフトウェアでの構築との違い

企業のECサイト構築には、ECパッケージソフトウェアもよく使われます。OSSとECパッケージソフトウェアとでは、どのように違うのでしょうか。

  • オープンソースソフトウェア
    OSSは無料なので初期コストを抑えられ、自由にカスタマイズもできます。一方で、サポートを受けられないため、高い技術力が必要になります。
  • ECパッケージソフトウェア
    ECパッケージソフトウェアの代金という、初期コストが発生します。一方で、ベンダーを通して利用するためサポートを受けられ、トラブル対応も任せられるといった利点があります。

ECサイトの構築には、ほかにも方法があります。「ECサイトの作り方-構築方法とそれぞれのメリット・デメリット」をご参照ください。

また、スクラッチ開発で構築する場合の詳細は「ECサイトをフルスクラッチで構築する際のメリット・デメリットとポイントを解説」で紹介しています。

ECサイトをオープンソースソフトウェアで構築することのメリットと注意点

OSSでのECサイト構築にはいくつものメリットがある一方で、注意すべき点も多くあります。あわせて確認しておきましょう。

オープンソースソフトウェアによる構築のメリット

まずはメリットから確認しましょう。

  • 低コスト
    OSSはプログラム本体が無料で利用できるため、全体的なコストを低く抑えることが可能です。ただし、ベンダーに大幅なカスタマイズを依頼したり、Webデザイナーに独自デザインを依頼したりすると、コストが大幅に上がってしまいます。
  • カスタマイズが自由
    OSSにはさまざまなプラグインがあり、ソースコードも自由に編集できるので、機能もデザインも自由にカスタマイズできます。
  • 拡張性が高い
    OSSはカスタマイズで自由に機能を拡張できるため、既存の業務システムとの連携も容易です。
  • 自社で管理可能
    OSSを利用すると、ECサイトの構築や運用管理を自社で行うことができ、トラブル対応やサイトの修正もすばやく行うことができます。

ただし、以上のようなメリットを生かすためには、自社に高い技術力があることが大前提となります。

オープンソースソフトウェアによる構築の注意点

OSSならではの弱点もあるので、注意が必要です。

  • セキュリティ対策が不可欠
    OSSはソースコードを公開しているので、セキュリティホールや脆弱性もわかってしまいます。そのため、不正アクセスや改ざん防止など、セキュリティには十分注意しなくてはなりません。
  • 数年すると陳腐化する
    OSSには頻繁にアップデートされないものも多く、数年使い続けているとシステムが陳腐化します。また、新しいバージョンが発表されても自動的に更新はされないので、手動で更新しなくてはなりません。その際更新後に不具合が発生しても、自社で対応する必要があります。
  • サーバーや回線などITインフラは自社で用意する
    ソフトウェアだけでなく、必要なものは自社で用意しなければなりません。ベンダーに依頼しても、費用は負担する必要があります。
  • 公式なサポートはなく、ベンダーも無料サポートはない
    OSSには、公式なサポートを行う組織は存在しません。必要な情報の収集やプログラムの更新は自社で行わなければいけません。ベンダーに運用管理のサポートを依頼することはできますが、サイト構築とは別に契約が必要で、別途料金が発生します。
  • 技術力のあるスタッフが必要
    OSSでのサイト構築やカスタマイズは難易度が高くなります。また、システムトラブルや不具合の対応、情報収集やプログラムの更新など通常の運用管理も行わなくてはなりません。そのため、高い技術力のあるスタッフが必要です。
  • 凝りすぎるとかえってコストがかかる
    OSSは納得がいくまでカスタマイズできますが、凝ったつくりにすると時間も人手も多く必要になります。その結果、かえってコストがかかる場合があります。

ECサイトを構築するオープンソースソフトウェアにはどんなものがあるか

OSSのパッケージを選択するポイントは、ユーザーが多くて情報が充実していることです。できれば日本語で情報をすばやく豊富に入手できるものがいいでしょう。次の3つを紹介します。

EC-CUBE

日本製で、日本国内でもっとも普及しているOSSです。日本語の情報が豊富で、扱っているベンダー数も多くいます。必要な機能はそろっており、プラグインやテンプレートも豊富です。カスタマイズの自由度も高いので、自社に合ったECサイトを構築しやすいでしょう。個人サイトから大規模サイトの構築にまで対応しています。

参考サイト:https://www.ec-cube.net/

Adobe Magento Commerce

OSSのECサイト構築用のパッケージでは、世界シェアナンバー1です。2018年にAdobe社に買収されています。多言語・多通貨対応で、越境ECに強いのが特徴です。日本語対応モジュールで日本語化することができ、英語の情報よりは少ないですが、日本語の情報もあります。

参考サイト:https://www.adobe.com/jp/commerce/magento.html

WordPress+WelCart

WordPressで構築したサイトに、ECサイト機能を追加するプラグインのWelCart を導入する方法です。オウンドメディアとしてWordPressのブログを組み合わせることができます。WordPressもWelCart もOSSとなるため、運用管理の手間は増えるのが難点です。WordPressでのサイト構築・運用管理に慣れている企業向けの方法でしょう。

参考サイト:https://www.welcart.com/s

オープンソースソフトウェアのECサイト構築には知識が必要

OSSを利用すれば、ECサイト構築のコストをかなり抑えることができます。しかしITの専門企業でないかぎり、自社だけで実現するのは困難といえます。自社に十分な技術力がない場合は、ベンダーによる十分なサポートが必要です。

サイバーウェーブの「VALUE KIT」は、必要な機能の部品を組み合わせてシステム構築を完成させます。そのため、カスタマイズ性や拡張性を維持したまま、より簡単に運用可能なECサイトの構築を行うことができます。また、運用しながらの細かな改善や機能追加も可能です。

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