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ECサイトの要件定義とは? 思いどおりのECサイトを構築するために必要な作業

ECサイトを構築するときには「要件定義」が必要になります。ここでの要件定義とは、ECサイトを構築しようとするユーザーと、構築作業を請け負うベンダーの間で「どのようなECサイトにするのか」を明確にし、共有する作業を意味します。要件定義がきちんとできれば、ユーザーの思いどおりのECサイトを構築が可能です。ここでは、ECサイトの構築やリニューアルを考えているユーザー企業のために、要件定義の目的や流れについて説明します。

ECサイトの要件定義とは

要件定義とは、サイト構築の準備段階で、どのようなサイトを構築するのかを、構築を依頼するユーザーと依頼されるITベンダーとの間で決めていくことです。ECサイトの構築では、ユーザーの希望や考えをベンダーに伝えて両者の認識をすり合わせ、どのようなECサイトにするかというコンセプト、大まかな仕様や機能、スケジュールなどを定義します。最終的な成果物として、どのようなECサイトを構築するのかをまとめた「要件定義書」を作成します。

要件定義のよしあしが、ECサイトの出来を左右するくらい重要な工程です。

システム開発の要件定義については、「システム開発の要件定義とは? ユーザー企業はどのように参加すればよいのか」で紹介していますので、ご参照ください。

ECサイトの要件定義を作成する目的

前述の内容と重複する部分もありますが、要件定義には次のような目的があります。

  • 構築するサイトについて、ユーザーとベンダー間の認識のズレや思い違いをなくす
  • 必要な機能のもれや誤解をなくし、後工程でのトラブルを防ぐ
  • ショッピングカートや受注管理、決済など細かいところまで具体的に仕様を決め、ユーザーとベンダーがイメージを共有する。これによって、作業戻りや修正などのトラブルを防ぎ、ECサイトの品質を上げる
  • サイト全体のコンセプト、目的・目標、制作スケジュールなどを決めることで、構築作業を円滑にし、進捗管理をしやすくする
  • ベンダーがユーザーの業務を理解し、より高い品質の、コンバージョンしやすいECサイトを構築する

要件定義には、以上のように重要な目的があります。ユーザーは要件定義の段階で、ECサイトに必要な機能や業務について、正確かつ十分な情報をベンダーに伝えなければなりません。

ECサイトの完成までにかかる期間

ECサイトの構築にはある程度の時間がかかります。

  • 小規模サイト:3ヶ月~
  • 中規模サイト:半年程度
  • 大規模サイト:半年以上

小規模なサイトでも、要件定義がきちんとできなければ作業がスムーズに進まず、スケジュールが遅れがちになります。要件定義には十分時間をかけ、しっかり行いましょう。

なお、ECサイトの作り方については、「ECサイトの作り方-構築方法とそれぞれのメリット・デメリット」で詳しく紹介しています。

ECサイトの要件定義に必要な項目

要件定義で定義する項目は多くありますが、その内容は大きく「全体の大まかな仕様と流れ」と「システム要件」の2つに分けられます。

全体の大まかな仕様と流れ

全体にかかわる仕様や構築のスケジュールを決定します。

  • ECサイト完成までの流れ
    ECサイトが完成するまでの流れをフローチャートで作成し、スケジュールを決定します。
  • ECサイト構築の背景と目的
    新規顧客開拓、既存顧客対応の強化など、ECサイト構築の目的とその背景を明確にします。
  • ECサイトの目標
    初年度の売上目標、公開後3年程度の目標とリニューアルの計画などを策定しておきます。
  • 業務フローとECサイトの仕様
    受注、発送、決済などの業務フローを具体的に洗い出してフローチャートを作成し、ECサイトの動作や仕様を決定します。
  • ECサイトの設計図
    仕様から必要な機能を割り出し、その機能を必要なページに配置する設計図を作成します。会員登録、ポイントシステムなど、サイトにより必要な機能は異なることが多いため、重要な作業です。
  • ECサイトの内容
                                            取り扱う内容やページ内容などを決定し、サイトマップを作成します。ユーザーの希望をどのようにECサイトとして実現するかという作業です。

システム要件

ECサイトの詳細な仕様にかかわる部分を、詳細かつ具体的に設計します。

  • ページごとのサイトデザイン
    トップページ、商品詳細、ショッピングカート、カテゴリページ、問い合わせページなど、ページごとのサイトのデザインやレイアウトを決定します。ページごとに必要な機能を適切に配置し、かつブランドイメージに沿ったものを作成します。また、どのページもモバイル端末から不自由なく閲覧・操作できなくてはなりません。
  • ショッピングカート
    受注から決済、発送の通知までの処理やインターフェイスを設計します。業務フローに合っていて、使いやすいものが必要です。
    ショッピングカートについて詳しくは、「ECサイトのカートシステムとは? 機能や仕組み・種類・選択方法などを紹介」をご覧ください。
  • 受注管理システム、配送システム
    サイトで受注した商品を配送するまでの処理と、そのシステムやデータベースのテーブルなどを設計します。ページごとのデザインと合わせて考えることが必要です。また、既存の業務システムとの連携も考慮しなければなりません。
  • 決済システム
    ECサイトで利用する決済方法は、クレジットカード、コンビニ決済、銀行振込、電子マネー、プリペイドカード、代引きなど多岐にわたります。構築するサイトで利用する決済方法と、それぞれの処理の流れを設計します。
    決済方法について詳しくは、「ECサイトの決済方法は? 9種類の方法と選択する際のポイントなどを紹介」をご覧ください。
  • セキュリティ
    ECサイトには顧客の個人情報や決済情報など、流出してはいけない情報が保存されているので、十分なセキュリティが必要です。セキュリティ対策を設計し、日常行うメンテナンスを計画します。
  • メール配信システム
    受注時や発送時に送信される、各種の通知メールを自動的に配信する仕組みを設計します。セールやキャンペーンのダイレクトメールにも利用可能です。
    メール配信システムについて詳しくは、「メールシステムがあればメールの配信が効率的に‐仕組みや構築方法は?」をご覧ください。
  • ECサイトの要件定義の基本的な流れとポイント

    要件定義を行うときの基本的な流れとポイントを紹介します。

    基本的な流れ

    1. 構築の背景と目的を確認する
      ECサイトの目的が変わると、掲載すべき項目や業務フローも変わります。まずはECサイトの目的を確認し、想定される業務フローのフローチャートを作成しましょう。それから全体の仕様を決定します。
    2. 目標を設定する
      構築するECサイトで達成したい目標を設定し、そのために必要な行動を時系列にリストアップします。ポイントは次の2つです。

      • 目標は計測可能なものを選び、達成可能な範囲で設定すること
      • 目標達成のための行動は、具体的かつ詳細に記述すること

      目標としてよく使われるのは、売上やアクセス数、コンバージョン率などです。

    3. 仕様を決定する
      全体の大まかな仕様を決定し、サイト全体の設計図を決定します。そこから詳細な機能と仕様(システム要件)を作成します。
    4. 制作・運用スケジュールの決定
      ECサイト構築・公開までではなく、設定した目標を達成するまでのスケジュールを作成します。そのためには、日々の運用、公開後のプロモーションやサーバーの強化、数年先のサイトリニューアルなども考慮してスケジュールに入れておくことが必要です。

    サイトリニューアルを行う場合のポイント

    流れは新規のECサイト構築と変わりませんが、リニューアルの場合は次のようなことに特に注意します。

    • リニューアルの目的
      サイトのリニューアルには、ECサイトを周知してアクセスを増やすのか、コンバージョン率を上げるのかなど、さまざまな目的があります。目的により適切な仕様やデザインが大きく変わるため、リニューアル前には、まず目的を決定しましょう。
    • 現在の課題を洗い出す
      現在のサイトの課題や問題点を洗い出します。商品に統一感がない、商品購入のインターフェイスがわかりにくいなど、さまざまな課題があるでしょう。発見された課題の解決がリニューアルのポイントになります。
    • 売上高と予算
      リニューアルやサーバー強化、運用にかけられる費用はどのくらいかを確認します。システムを入れ替えたりデザインを外注したりする場合は、多めの予算が必要になります。また、予算を立てる際はサイトの売上高とのバランスを考えることも大切です。
    • UX/UIの改善
      パソコン向けだったサイトをモバイル対応させたり、一般的に使われているアイコンやボタンに統一したりするなど、より買い物しやすいインターフェイスに改善することは基本です。

    ECサイトの要件定義のポイント

    ユーザーとしてECサイトの要件定義に参加するときには、次のような点に留意します。

    • ユーザーの役割を明確にする
      要件定義では、ユーザーが何をすればいいのかをはっきりさせます。一般的には、次のような役割を担います。

      • 要件定義で必要な情報を十分に伝えること
      • サイト構築のプロジェクト全体を管理すること

      必要な情報や機能の抜けやもれを防ぐことができるため、プロジェクトマネージャーは業務内容がわかっているユーザー側で担当します。

    • 現在の業務内容や業務フローを明確にする
      ユーザーは、要件定義の前に業務の現状を正確に把握して整理し、ベンダーに伝えなければいけません。これが構築するサイトの「業務フロー」のもとになります。この際に、現行の業務フローの課題も把握しておくと、ECサイト構築の際にシステム化し、改善できる場合もあります。
    • ECサイトの特徴を利用しマーケティング戦略に生かす
      ECサイトは、アクセス解析をもとにして、運営しながら細かい修正やテストを繰り返すことができます。そのためには、アクセス解析しやすいサイト構造にしなくてはなりません。例えば、次のようなポイントがあります。

      • URLの正規化(~.com/と~.com/index.htmlの統一)
      • URLクエリパラメータの除外(流入によって付与されるパラメータの除外)

      また検索サイトやほかのWebサイトに広告を出稿する場合、広告からのアクセスを想定し、効果を測定するためのページが必要です。

      • URLクエリパラメータによる広告の効果測定
      • 広告から流入するためのランディングページを設置

      要件定義はベンダーだけでなくユーザーの作業でもある

      ECサイト全体の方向性と仕様を決める要件定義は、ECサイト構築において重要な作業です。ユーザーが業務フローやECサイトに求める機能について、できるかぎり正確なイメージをベンダーに伝えることが必要です。要件定義の質がサイトの成功を左右することを認識し、積極的にかかわっていきましょう。

      サイバーウェーブの「VALUE KIT」は、必要な機能の部品を組み合わせてシステムを構築していくことが可能です。カスタマイズ性や拡張性を維持したまま効率的にサイトを構築でき、運用しながらの細かな改善や機能追加も容易にできます。そのため、リニューアルの多いECサイトにも最適です。

      また、VALUE KITの「EC部品」には、ネットショップに欠かせないショッピングカートや決済システム、価格の管理や商品管理、売上管理が含まれており、顧客管理システムとも容易に連携できます。

      詳細にご興味がありましたら、お気軽にお問合せからご連絡ください。

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