ブログ

サブスクリプションにおける企業側とユーザー側のメリット&デメリット

ここ数年で、サブスクリプションサービスというビジネスモデルがかなり知られるようになりました。しかし、いまだに手を出すのに躊躇(ちゅうちょ)する企業やなじめないユーザーも多いでしょう。サブスクリプションサービスが普及した背景と、そのメリットやデメリットを紹介します。

サブスクリプションサービスとは

サブスクリプション(subscription)の本来の意味は、雑誌・新聞などの定期講読や予約講読です。現在では主に「ユーザーが月単位や年単位で使用料を支払って、一定期間利用する権利を買う」ビジネスモデルを指します。商品やサービスを購入するのではなく、あくまで、使用する権利を購入するのです。

サービスの例としては、次のようなものがあります。

  • 定額制動画配信サービス
  • 定額制音楽配信サービス
  • 食材やサプリメントの定期宅配サービス

サブスクリプションサービスが注目を浴びるようになったのはなぜでしょうか。その背景を見てみましょう。

サブスクリプションサービスが普及した背景

サービスの普及には、次のふたつの要因があります。

  • モノ消費からコト消費への移行
    最近は若い世代を中心に、モノを所有・消費するのではなく、利用することや体験することに価値を見出す消費傾向が強くなっています。例えば、音楽を聞くときにCDを購入する人は少なくなり、若い世代の多くはストリーミングサービスとスマートフォンを使っています。この傾向は今後も続く見込みです。
  • 電子決済の普及
    多くのサブスクリプションサービスは、主にスマートフォンやパソコンから申し込みを行い、電子決済で料金を支払う方式です。ここ数年で電子決済が大きく普及したことで、サブスクリプションサービスを利用しやすい環境が整ってきました。

サブスクリプションサービスと定額制の違い

サブスクリプションサービスはよく「定額制」と混同されます。確かに似てはいますが、違いは以下のとおりです。

  • サブスクリプションサービス
    定期的に決まった料金を支払い、サービスや商品を利用する権利を得ます。料金プランやオプションが多く、ユーザーが自分に合った使い方をすることが可能です。企業側は長期的な契約を得るために、ユーザーのニーズや需要を分析してそれに合わせたサービスやプランを提供します。そのため「定額制」よりも顧客満足度を意識したサービスといえるでしょう。
  • 定額制
    定期的に決まった料金を支払い、サービスや商品を所有します。継続購入をめざしてはいますが、顧客のニーズによって内容が変化することはあまりありません。

サブスクリプションサービスのメリット

サブスクリプションサービスは、企業側にもユーザー側にもいくつものメリットがあります。

企業側のメリット

  • 新規顧客を獲得しやすい
    初期費用が低いためサービスを気軽に試してもらえ、新規顧客を獲得しやすい土壌があります。
  • 長期的な売上を期待できる
    ユーザーのニーズに合わせサービスを充実させる、手軽な料金プランを増やすなど、継続しやすくしていれば、長期的かつ安定的な利益につながります。
  • 利用者リストや実際に利用された統計データを取得して、今後の改善に利用できる
    ユーザーの属性や利用状況について、詳しいデータを得ることができます。データを分析することで、より正確にユーザーのニーズを把握し、サービス改善に生かすことが可能です。その結果、ユーザーの離脱を防ぎ、さらに長期的な利用につなげることができます。
  • デジタル、アナログ問わずさまざまな業界や業種で導入できる
    サブスクリプションサービスといえばデジタルコンテンツを配信するイメージがありますが、既存の商品やサービスでもさまざまな形で取り入れることが可能です。衣類やバッグのレンタル、車のシェアリング、飲食店やワーキングスペースの利用、デジタル端末の利用など、さまざまな分野で導入が可能です。

ユーザー側のメリット

  • 初期費用が少ない
    ひと月あたりの料金は比較的少額で、申し込み後しばらくは無料お試し期間があるサービスもあります。少ないコストで試すことができるため、ユーザーは安心して利用できます。また、物品を所有するわけではないので、管理コストやスペースも必要ありません。
  • 継続利用しやすい
    商品やサービスがアップデートしても通常料金は変わらず、安心して利用できます。料金が一定で予算管理がしやすいため、法人利用にも適しています。
  • 単品購入よりもお得な料金プランが多い
    多くの場合、料金を払うとほとんどのサービスが使い放題になります。数回利用すれば元を取れることが多く、利用すればするほど1回あたりの単価はお得になります。料金プランが複数用意されているのが一般的で、使い方に合わせて選ぶことが可能です。
  • 必要なくなったらいつでも解約できる
    ほとんどの場合インターネット上で容易に解約でき、解約すればそれ以上コストはかかりません。そのため気軽に試してみることができます。
  • 新しい商品やサービスに出会いやすい
    利用履歴をもとにした「おすすめ」が表示されます。自分では探せなかった自分好みの商品やサービスを提案してもらえて便利です。

サブスクリプションサービスのデメリット

一方、サブスクリプションサービスには、企業側にもユーザー側にもいくつかのデメリットがあります。

企業側のデメリット

  • サービス開始直後はユーザーが少なく即利益につながらない
    サービス開始時にはユーザーが少なく、最初はお試し料金で安い設定であることも多いため、サービス開始後しばらくは利益が見込めません。
  • 常に新鮮な商品やサービスを提供する必要がある
    サブスクリプションサービスを成功させるためには、長期ユーザーを増やす必要があります。そのためには、常に新しい商品やサービスを導入するなどして、顧客の離脱を防がなくてはいけません。
  • 売りきりではないためカスタマーサポートの負担が大きくなる
    売りきりのビジネスモデルとは異なり、継続的に同じユーザーと関わっていくことになります。そのためカスタマーサポートの対応は複雑になり、負担が大きくなりがちです。

ユーザー側のデメリット

  • 使わなくても料金は発生する
    サブスクリプションサービスの料金は、毎月定期的に電子決済で引き落とされるため、利用していない月も同じ料金がかかります。また、解約をし忘れて、必要のないサービスの料金を支払い続けているケースもあります。
  • 不要なものまで契約してしまうこともある
    最初に無料か低料金で簡単に試すことができるため、吟味せずにいると、不要な契約やオプションの追加などをしてしまうことがあります。
  • 急な値上げのリスクがある
    多くのサブスクリプションサービスの規約で、企業側の意思で利用中に利用料金を変更することも可能となっていることが多く、急な値上げのリスクがあります。代替サービスがないものや依存度の高いサービスでは、やむをえず値上げを受け入れるユーザーが多いようです。
  • 長期間使う場合はトータルコストが高くなる傾向にある
    利用量にもよりますが、サービスを長期間利用すると、買いきりの商品やサービスよりも結果的に割高になることがあります。

サブスクリプションサービスでは継続してアップデートしていくことが必要

サブスクリプションサービスでは、売りきりの販売とは異なり、ユーザーに継続して利用してもらうために、常にユーザーファーストの姿勢で商品やサービスを更新する必要があります。こうした努力によりユーザーとの長期的な関係を構築できれば、安定した利益を確保することができます。サービスの導入を考えている場合は、メリットとデメリットを照らし合わせて、検討することが大切です。

プロダクト

お問合せ

おすすめ記事