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サイバーウェーブヒストリー第4回:借金7000万円・倒産寸前からの脱却

借金7000万円を抱え、倒産寸前まで追い詰められたサイバーウェーブ。しかし、失敗を生かして奮闘した結果、光が見えてきました。第4回では、新商品「PJテンプレート」の威力や、サイバーウェーブの次のステージについてお伝えします。

地道に仕事を続けることで光が見えてきた

――前回のインタビューの終わりで、失敗から学んで新商品「PJテンプレート」の開発をされたと聞きました。PJテンプレートはかつての会社の課題をうまく解決できているように思います。経営の方はどうなりましたか?

梨木:2005年から2007年にかけての3年間は赤字経営を続けていましたが、PJテンプレートを販売しはじめてからは徐々に経営を安定させられる様になりました。2008年以降はずっと黒字を出せています。

経営の黒字化には成功したのですが、すぐに借金を返済できたわけではありません。窮地から一気に脱出できたわけではなく、社長自ら他システム開発会社様へ出向し、サイバーウェーブでの徹底した経費削減、小規模な受託開発を確実に成功させることなどを地道に続けるうちに経営状況が良くなりました。

PJテンプレートが一通り完成した後も、機能を拡充させ続けました。機能を充実させるとともに、売上も増えていきました。

他システム開発会社様へ出向し、自社でも受託開発を1つ1つ成功させる。黒字を出し続けて7年目の決算打ち合わせで、借金も繰り越していた赤字も全て清算することができました。

親の助けがあり、自分が始めたから乗り切れた

――会社が破産寸前になったり、昼夜を問わず働いたりするという厳しい生活を乗り切れた理由はありますか?

梨木:親の支えがあったからでしょうね。会社の経営がうまくいっていないことを、自分から親に話したことはないんです。ところがちゃんと、父は息子の様子がおかしいことに気付いていたのです。

ある日、父に「最近会社の経営はどうなんだ」と聞かれました。驚きましたが、そこではじめて正直に状況を伝えることができました。父は信用金庫で働いていたことがあり、経営に通じていました。会社の危機的な状況を伝えたところ、財務諸表をひとつひとつ取りあげて経営のアドバイスをもらいました。

前回お話した投資家の方もそうですが、いろいろな方に助けられました。その助けがなかったら……自分もサイバーウェーブも潰れていたかもしれません。

会社の経営を続けられたもうひとつの理由は、自分から始めたからでもあります。もしも誰かに言われて始めたことだと、少しでもつらいことがあったときに「やっぱりやらなければよかった」と思いがちです。けれど、自分が始めたことなら続けられます。自分の行動の結果なので、悪い結果になったとしても全てを自分事として受け入れられます。

物理学からの学びがあったから失敗を生かすことができた

――会社が倒産直前になるという失敗の反省からPJテンプレートを開発し、会社の立て直しに成功しました。こんなにもうまく失敗を生かせた理由はありますか?

梨木:物理学で学んだ波と同じように「下がるところまで下がれば後は上がるだけ」という法則をなんとなく体で理解しているからです。

――波……第1回にも登場した話ですね。

梨木:状況が悪化しているときでも、悪化し続けることはありえません。日本だと、会社を倒産させたとしても、極端な話ですが命を奪われることはありません。命があって、心が正気であれば、いくらでも這い上がれるという確信があります。どんな悪い事があっても見方次第で得られるものはあるという信念があったため、マイナスな出来事をプラスに変えるための行動を続けることができました。

一番大切な価値観は「相手に喜びや価値を与えること」

――今まで、サイバーウェーブ20年間の歩みをお伺いしてきました。随所に梨木さんの価値観が表れていましたね。

梨木:考えることが好きなので、「何のために働いているのだろう?」とか「なぜ自分はこの行動をしているのだろう?」などとよく考えます。自分が大切にしたい価値観の自覚ははっきりしています。自分の価値観に沿った行動になっているはずです。

――「マイナスの状況もプラスに変える」や「自ら価値を発信する」など、様々なポリシーが登場しました。その中でも、一番大切にしているポリシーはなんでしょうか?

梨木:「自ら先手で相手に喜びや価値を提供する」という考えです。

現在のサイバーウェーブのファイブバリューは、「誠実・プロフェッショナル・チャレンジ・普遍的価値・チームワーク」です。誠実に仕事をやりきり、プロフェッショナルとして判断に責任を持ち、チャレンジを続け、より多くの人を喜ばせる普遍的価値を追求して、自らチームに貢献する、ということです。

では、誠実に仕事をしたり、プロフェッショナルとして判断に責任を持つ目的は何か? と考えると、「相手に喜びや価値を与える」となります。例えば、陰日向なくお客様の為に誠実に仕事をすればお客様に喜んでいただけます。

ファイブバリューを実践する究極の目的は、お客様に価値を提供して喜んでいただくこと。これが最も重視している価値観です。

もう一度新しいことにチャレンジしたい

梨木:ここまでは創業してから20年間でしてきたことのお話です。2019年からサイバーウェーブは新しい試みへ踏み出しました。「第2創業期」と銘打っています。

第2創業期を始めようと思ったきっかけは、2018年10月のことでした。設立20周年を目前にして「もう20年経つのか」と、かなりの時間が過ぎたことを実感しました。自分は41歳でした。そのころには、自分の手が届く範囲の中で安定した経営をすることができていました。

大学生の時に会社を立ち上げ、20代後半には破産直前にまで経営を悪化させ、30代で借金を返済し、40代には経営を安定させる。それまでやってきたことに後悔はなかったのですが、ふと「このまま、自分の手が届く中だけで仕事を続けるのか?」と思いました。「もう1回チャレンジしたい」というのが、嘘偽りのない答えでした。

第5回に続く)

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