Case Study
kNotPerfect株式会社

日本古来の「金継ぎ」に新しいムーブメントを起こすCtoCマッチングサイト

左から
kNotPerfect株式会社 代表取締役 俣野 由季氏
サイバーウェーブ 代表取締役 梨木 繁幸

俣野氏の想いのこもった「つぐつぐ」を委ねるパートナーとして、サイバーウェーブを選んだのはなぜか。俣野氏に聞いた。

オンラインで、職人と壊れた器を抱える人が気軽に交流できる場所をつくりたい

―― 俣野さんが、金継ぎ職人と顧客をつなぐマッチングサイト「つぐつぐ」を立ち上げたのは、どのような背景でしょうか。

俣野氏:今年2020年3月に「金継ぎ」に特化した会社を設立しました。kNotPerfect(ノットパーフェクト)株式会社といいます。会社の設立を考えたのは、さらに1年前、2019年5月ごろです。
そのころ私は、平日は製薬会社で働き、週末に MBA にかよっていました。MBA の講師から、日本には金継ぎというすばらしい文化がある、と紹介されたんです。金継ぎを知って、ときめきました。
ちょうど卒業論文で、ビジネスプランを書く時期でした。金継ぎで会社を興すことはできないか、と思いました。
そこで事業の柱として、自宅で金継ぎのできる材料を販売する「金継ぎキット」と、オンラインで金継ぎ職人と依頼したい人をつなぐ「マッチングプラットフォーム」の2つを考えました。
「マッチングプラットフォーム」は、ビジネスとしてどれだけ成り立つのかは未知数でしたが、やはり新しいことがしたい。オンラインで、職人さんと壊れた器を抱える人が気軽に交流できる場所をつくりたい、と思いました。

サイバーウェーブは「価格が安い理由が納得がいく」から安心できた

―― サイバーウェーブとの出会いはどのようなきっかけでしたか。

俣野氏:サイバーウェーブに最初にアプローチしたのは、起業をひかえた12月でした。
マッチングプラットフォームをやりたいと思ったものの、私にはシステム開発の知識はありません。いろんな方にご紹介いただいて、何社か、システム開発会社とお会いしました。
ほかの会社ともお話ししていたのですが、他社では「コミュニケーションがしづらい」と感じることがありました。私にはITの知識がないので、専門用語がわからなかったり、システム開発では当然のことも私にとっては当然ではなかったりします。ギャップを抱えていることをわかってもらえないと意思疎通がしづらい。お仕事をお願いするには不安が残ります。
さらに別の会社は、感じがよく話しやすかったのですが、概算をいただいたところ、サイバーウェーブより、想像以上に高かったんです。

梨木:俣野さんのご協力もあり、VALUEKITの部品を効率的に使用して頂き、普通のシステム開発会社のゼロから開発費用と比較して、開発費を1/3にできました!ありがとうございました。

俣野氏:こちらこそありがとうございました。更に、サイバーウェーブが安心できたのは「価格が安い理由が納得がいく」というところです。「VALUE KIT」という、よく使う機能が部品として仕上がっていて、それを組み上げることで、価格を抑えることができる。安かろう悪かろうではない、というのが安心できました。

サイバーウェーブはプロジェクトの早い段階で具体的なものを提示してくれた

―― サイバーウェーブに決めたポイントは、価格以外には、どのようなところがありますか。

俣野氏:打ち合わせの早い段階で、明瞭な見積りや、要件定義書をいただきました。具体的なものを提示してくれた信頼感がありました。先を見すえて、着々と進めていただいていると感じました。

梨木:サイバーウェーブの特長として、ヒアリングして、はじめにもう設計をしてしまうんです。キックオフのときには、ほぼ要件定義書ができてるまでに意識合わせをしてしまう。それができるのも、「VALUE KIT」として、すでに仕上がった部品がそろっているからです。

俣野氏:当時は要件定義書がどういう役割のものなのか、よくわかっていなかったので、「ちゃんとしたものを出してくれて安心だな」というくらいのイメージでしたが、のちにプロジェクトを進めていくうちに、本当に大切なものを、早い段階で出していただけたのだと実感できました。
要件定義については、私自身として、どのようなサービスをつくりたいのか、もっと細部までイメージして臨んでおくべきだったという反省があります。自分でも、どういうふうにしたいのかわかってなかったところがありました。

梨木:システム開発プロジェクトで、クライアント様が最初からすべてを見通すことは、現実的にできません。最初のふわふわしたイメージが、プロジェクトを進める過程で精緻になっていくものです。だからプロジェクトが細部にいくにつれて、当初は想定し切れなかったものが発生する前提で、それを受け止めて、いいものにしていける開発会社の体制が重要です。

初心者の自分にもわかりやすく、ロジカルに納得する理由を教えてくれた

俣野氏:初心者の私にわかりやすく教えてくださったのも、とてもよかったです。
梨木さんが、理由をきちんと説明してくださる。プロジェクトを進めるなかでは、実現できないことも出てきました。そのとき「できません」というだけだと、私は納得できないし、学びもない。梨木さんはロジカルに納得する理由を教えてくださる。私とサイバーウェーブのお互いが Win-Win になるところを模索できましたし、お互い気持ちよく仕事ができます。
たとえば、今回のプロジェクトの途中で「ユーザーにメッセージが届いたとき、メッセージ画面に入らないとそれに気がつけない」ということがわかって、急遽「通知バッジをつけたい」という相談をしました。
そのタイミングがプロジェクトの終盤だったんです。だから、追加するにも、納期も費用もかかってしまう。落としどころが必要でした。サイバーウェーブは私の要望をしっかりと受け止めてくれて、リリース時点でできる現実的な機能に落とし込んでもらうことができました。
起業するにあたり「早くリリースしたい」という気持ちにも応えていただきました。詰まったスケジュールにも都合をつけて早めてくださったのもよかったです。
プロジェクトマネージャをつとめてくださった福田さんもよかったです。メールしたらすぐレスポンスくれるし、端々で頑張ってくださっていることが感じられました。

「EC(電子商取引)」部品を使えば顧客情報を一元化できる

―― サイバーウェーブに、今後、期待するところは、どのようなところでしょうか。

俣野氏:弊社は起業したばかりのスタートアップ企業で、システム開発の専門家はいません。ITの知識を求められても困ってしまいます。
難しい要望だというのはわかってはいるのですが……弊社の事業をふまえて「次にやるべきこと」を提案いただけるとうれしいですね。

梨木:じつは弊社でも、いま課題として取り組んでいます。クライアント様に対して、弊社が主体的に提案していけるようにする。
たとえば他案件では、クライアント様のなかで閉じず、クライアント様の先のお客様も含めた大きなスキームをつくっていきましょう、という、事業企画にも踏み込んだ提案もはじめているところです。いまはまだ、弊社内の限られたメンバーで試行しているところですが、今後、広げていこうとしています。

俣野氏:その点では、まさに相談があります。金継ぎキットを毎月、相応の数、販売しているのですが、Amazonなどの外部サイト経由で販売すると、顧客情報が手元に残らないのです。だから一度、購入した顧客に再アプローチすることが難しい。いまはキットにチラシを同封して、コミュニケーションするのが限度です。

梨木:まもなく「VALUE KIT」に「EC(電子商取引)」部品をリリースする予定です。それを使うと、ネットショップが自社で構築できます。カートシステムや、決済システムが含まれています。「つぐつぐ」とシームレスに連携できます。金継ぎキットを購入していただいた会員の方に、「つぐつぐ」を利用していただいたり、その逆もスムーズです。
自社のネットショップで購入していただければ、顧客情報が手元にたまるので、継続的に顧客とコミュニケーションをすることができるようになります。

俣野氏:それはよいですね。
2021年1月に新事業として「東京金継ぎ教室 つぐつぐ」という実店舗をオープンする予定です。金継ぎ教室を開催します。その「EC」部品を使うと、教室への集客も、サイトと一元化してできるようになるということですね。

梨木:そうです。サイバーウェーブとしては「つぐつぐ」のご支援だけでなく、御社の事業自体を成功させるためにどうすればよいのかを考えています。ぜひ提案させていただければと思います。

「つぐつぐ」は社会に貢献していけるサイト、絶対に続ける事業

―― 「つぐつぐ」の今後について教えてください。

俣野氏:おかげさまで、メディアにも2回、取り上げられていただくことができました。ラジオにも2回、出演しています。
そのとき、やっぱり「つぐつぐ」が話題になるんです。そのとき、「このサイトで金継ぎ修理の依頼を、カンタンに、スムーズにできる」と胸を張って言える。すごくインパクトがあるコンセプトなんです。
「つぐつぐ」は絶対に続ける事業だと思っています。世界初、日本初の金継ぎマッチングプラットフォーム。オープンしたときに、金継ぎ職人の方からメールをいただきました。「金継ぎという伝統の文化、漆という産業で、IT化して新しいものをつくってくれてありがとう」とおっしゃっていただきました。がんばらなくてはいけない。志を新たにしました。
「つぐつぐ」があることで、私の会社だけでなく、金継ぎという文化も広めていくことができます。社会にも貢献していけるサイトです。もっとよくしていきたい。パートナーとしてサイバーウェーブに期待しています。

— ありがとうございました。

(取材:2020年11月)

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