求められる日本企業のDX
ここ数年で話題となり、新聞やニュースで毎日のように取り上げられる「DX(デジタルトランスフォーメーション)」。言葉は浸透してきたものの、日本のDXは世界から遅れを取っています。
世界的なビジネススクールである国際経営開発研究所(IMD)が公表した世界デジタル競争ランク2020では、日本は前年の23位から4ランク下がった27位でした。
出典)JETRO.『IMDデジタル競争力ランキング、スイス6位、日本は27位へ後退』
コロナ禍の影響を受け、よりDXの緊急性が高まる中、日本企業はどのようにDXを加速させていけば良いのでしょうか。ヒントを見つけるため、海外のDX成功事例を見ていきましょう。
1.Nike(ナイキ): eコマース戦略の刷新
https://www.nike.com/membership
世界的に有名なスポーツ用品大手のNikeは、顧客の購買データを活用したNIKE Live(ナイキライブ)というコンセプトストアを展開することでDXを進めています。
NIKE Liveは、周辺エリア内の顧客ニーズを品揃えに反映させる店舗です。NikeのメンバーシップサイトNike+(ナイキプラス)の会員が購入したデータを分析し、リアル店舗に反映させています。エリア内で人気のある商品を把握できれば、店舗の在庫を最適化することができます。
さらに、Nikeのアプリと店舗を連携させており、顧客はスマートフォンから欲しい商品の在庫確認やリクエストを送ることができます。
購買データの分析によって、移り変わるファッショントレンドを瞬時に自動で把握し、店舗に反映させる。データを活かしたビジネスモデルを構築することで、顧客満足度の向上と在庫の最適化を実現させました。
Nikeはこの変革後の2年間で株価を52ドルから88ドルまで上昇させています。Nike+は名称や仕組みを変え、その後の同社のメンバーシッププログラムへとつながっています。
出典)GASKET.『コロナ時代の勝ち組をNikeのDXから考える』
2.Disney(ディズニー): 動画配信サービスへの参入
https://disneyplus.disney.co.jp/
Disneyはこれまで、アニメや映画のキャラクターグッズやテーマパークといったアナログなエンターテイメントに力を入れてきました。
NetflixやAmazonPrimeなどの動画配信サービスが広がるなかで、メディアエンターテイメント業界の覇権をかけ、Disneyが一大プロジェクトに乗りだしました。ディズニーの動画配信サービス「Disney+(ディズニープラス)」は2019年11月に始まり、2021年3月には有料会員数が1億人を超えました。
Disneyは独自のコンテンツを持っている強みがあります。しかし、DisneyはNetflixをはじめとする他社とライセンス契約をしてしまっていたため、コンテンツの引き上げをしなければなりませんでした。そのリスクに臆さなかったことが、DisneyがDXに成功した理由と言えるでしょう。
出典)Brainhub.『Digital Transformation Examples – Companies That Did It Right』
3.IKEA(イケア):カタログのデジタル化
https://www.ikea.com/ca/en/customer-service/catalogue-and-brochures-pub4405a9e4
順調な成長を遂げている家具・インテリア大手のIKEAも、主要経営課題としてDXを挙げています。
昨年(2020年)、IKEAは紙の冊子である「IKEAカタログ」の発行を終了しました。創業者であるイングヴァル・カンプラード氏自身が発行を始めた同冊子は、1951年から70年間続けてきた歴史がありました。2016年の最盛期には2億部のIKEAカタログが発行され、世界の50以上の市場で配布されていました。
それでもなお、発行終了に至った背景には、人々の情報収集のデジタル化があります。インターネットで商品検索や口コミの閲覧など、顧客の購買行動にデジタルの使用は当たり前となり、冊子の需要は減っています。IKEAも、2019年のオンライン販売の売上高は全世界で45%増加し、公式オンラインストアであるIKEA.comへのアクセス数は40億を超えました。アプリの提供もはじめており、IKEAは企業の資本を紙からデジタルへと集中させる決断をしました。
IKEAはより顧客の購買体験を向上させるため、更なるデジタルサービスの拡大に取り組んでいます。目が離せない企業です。
出典)IKEAカタログ 発行終了のお知らせ 70年の成功を経て、イケアは次へとページをめくります
まとめ: DXに必要な要素とは
3つの先進事例に共通する成功要素は、DXの「必要性の認識」と「実施する覚悟」にあります。これからの時代、DXは避けて通れません。DXにかかるコストは決して安価ではないかもしれませんが、「いつか」ではなく「今」DXに取り組む決意を、日本企業は求められています。
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