2021年10月にIPAが発行した「DX白書2021」をご存知でしょうか? 大規模な調査・分析から整理されたDXに関する最新情報を得ることができますが、計372ページ(目次、奥付込みで382ページ)は読み始めるのに躊躇する量です。この記事では、DX白書の要約と、さらにDX白書を活用したい方へ向けてDX白書の読み進め方について解説します。
DX白書はIPA公式サイトからpdfでダウンロードできます。
【目次】
- DX白書とは
- 特徴は「日米比較」
- 読む前に知っておきたいキーワード
- エグゼクティブサマリーからわかる10の要点
- DX白書の構成と要約
- インタビュー内容
- コラムについて
- 付録について
- (まとめ)DX白書2021を読む
DX白書とは
DX白書とは、日米のDXの動向やDX戦略、最先端技術の活用事例を調査、分析し、「戦略」「人材」「技術」の3つのテーマから日本企業の課題分析やDX取組の方向性について論じたホワイトペーパーです。
2021年から、同年に始まった「デジタルの日」(10月10日、11日)に合わせてIPA(独立行政法人情報処理推進機構)が発行しています。
IPAは以前から、日本企業のIT社会への対応を支援するため、2009年から「IT人材白書」、2017年から「AI白書」を発行していましたが、昨今の新型コロナウイルス感染症によるDXの加速や、クロステック(X-tech)の恒常化を背景に、「DX白書」に統合しました。
特徴は「日米比較」
IPAのプレスリリースの表題でも強調されているように、DX白書の最大の特徴は、米国企業との比較から日本企業の課題を解説している点にあります。
アンケート調査で日本企業534社、米国企業369社から得た回答を基に、細かな鋭い分析がされています。
回答企業種の比率に注意
レポートを読み進めるにあたって、日米で回答企業業種の比率が異なることに注意が必要です。
DX白書から抜粋
「金融業、保険業」以外の割合は両者で大きく異なっています。特に、米国の回答結果は、「情報通信業」の取り組みに最も影響されていることを念頭に入れておく必要があります。
読む前に知っておきたいキーワード
DX白書には多くの専門用語が登場します。スムーズに読み進めることができるように、登場回数が多い単語を整理しました。
DX(デジタルトランスフォーメーション)
企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること
デジタライゼーション(Digitalization)
個別の業務・製造プロセスのデジタル化(例:配車ルートの自動生成アプリ)
デジタイゼーション(Digitization)
アナログ・物理データのデジタルデータ化(例:輸送人数や売り上げなどの配送実績情報の電子化)
アジャイルの原則とアプローチ
顧客価値を高めるために、企画、実行、検証のサイクルを継続的かつスピード感を持って反復すること
アジャイルな取組み
企画、実行、検証のサイクルを継続的かつスピード感を持って反復すること
ケイパビリティ
企業競争力を高めるための組織能力のこと
CDO(Chief Data Officer)
CDOとは、DX推進のために経営資源の配分について経営トップと対等に対話し、デジタルを戦略的に活用する提案や施策をリードする経営層のこと。データ分析活用担当の上級管理職でもある。
CoE(Center of Excellence)
組織の変革を組織横断的に推進する組織のこと
先端技術・領域
データサイエンス、AI /人工知能、IoT、デジタルビジネス/ X-Tech、アジャイル開発/ DevOps、 AR / VR、ブロックチェーン、自動運転/ MaaS、5G、上記以外の先端的な技術や領域
エグゼクティブサマリーからわかる10の要点
計372ページという超大作の全てを読む時間がない方は大勢いらっしゃると思います。IPAは、DX白書を刊行する目的を達成するため、時間がない人へ向けたエグゼクティブサマリーを公表しています。
エグゼクティブサマリーは、計20ページからなり、DX白書本書の要点がまとめられています。そもそも、DX白書本書の第1部が全体のまとめであるため、エグゼクティブサマリーは第1部とほとんど内容が同じです。(『第1部5章「企業におけるデジタル戦略・技術・人材に関する調査」概要』のみ、エグゼクティブサマリーで省略されています。)
今回エグゼクティブサマリーからわかるDX白書の要点を以下の10つにまとめました。
1. 調査の結果、実際問題として日米のDXの取組状況には大きな差がついてきていることがわかった。特に、日本の製造業は、全社的なDXに取り組めていない。
2.日本企業は、「パンデミック」や「技術の発展」などの外部環境変化をより強くビジネスチャンスと捉えるべき。
3.デジタイゼーション(アナログ・物理データのデジタルデータ化)が遅れている。アジャイルの原則とアプローチ(顧客価値を高めるために企画、実行、検証のサイクルを継続的かつスピード感を持って反復する)を意識すべき。
4.日本企業は、経営者、部門間などの組織内における協調が不足している。
5. DXの推進に合わせたKPI設定、評価方法を確立すべき。
6.企業変革を推進するリーダーに求める能力は、日米で異なっている。
7.DXを担うことができる社員の数が不足している。社員のITリテラシー向上の重要性の認識、社員のITリテラシーレベルの把握、学び直しなどの施策を用意すべき。
8.「デザイン思考」や「アジャイル開発」「DevOps」といった新たな開発手法を十分に活用できていない。
9.顧客や社員などからのさまざまなビジネスニーズに対応するITシステムの構築が遅れている。DXを支える技術の理解を深め、活用していくべき。
10. データ、AI技術の活用も遅れている。原因は「既存システムがデータの利活用に対応できていない」ことや「人材の確保が難しい」ことにあると考えられる。
DX白書の構成
DX白書は4部+付録で構成されています。日米企業に行ったアンケート調査の他、インタビュー調査による事例紹介、有識者のコラムも掲載されています。
各部の各章のサマリーを紹介します。気になる項目部分を見つけて、本書を読む場所を絞るのに使ってみてください。
第1部 総論
・第2部から第4部の重要部分の要約
DX推進に携わるもの必読箇所。内容は、IPAがDX白書と同時に発表したエグゼクティブサマリーと同一です(第5章「『企業におけるデジタル戦略・技術・人材に関する調査』概要」 を除く)
第2部 DX戦略の策定と推進
第1章 DXへの取組み状況
日米のDX取組み状況を、業種別、従業員規模別、事業領域別などあらゆる角度から比較しています。
- 開始時期が遅かった日本
- 開始時期が遅い日本
- DXへの取り組みに対する成果評価が適切に行われていない可能性
- デジタル事業の伸び代
第2章 DX戦略の全体像
DXの推進には、全社で取り組むことが求められます。全社が共通認識を持った上でDXに取り組むには、DX戦略の策定が必要不可欠です。
- DX戦略の全体像と立案のための6つポイント
- 2つのデジタル活用の視点
- 経営者のITリテラシー不足
第3章 外部環境の評価と取組み領域の策定
パンデミック(新型コロナウイルス)やAI、IoTなどの技術の発展など企業を取り巻く環境は絶えず変化しています。DX戦略の実効性を担保するためには最新の環境の把握に努め、変化が機会となるのか、または脅威となるのかを判断していく必要があります。
- フレームワークを活用する
- 常日頃から知識をアップデートさせる
- 外部環境変化を「機会」として捉える
- DXを進める2つのアプローチ
- DXの前に、デジタイゼーションとデジタライゼーションを進める
- デジタル技術を用いた顧客への価値提供の枠組み
- 米国ではDXの取組内容の効果が着実に出ている
- アジャイルな取組に必要な人材、組織・役割、プロセス・ルール
第4章 企業競争力を高める経営資源の獲得、活用
DXを推進するための組織や人材、ITシステム、データについて、その実態やソーシング手段、活用方法を見ていきます。
- CDO(Chief Digital Officer、最高デジタル責任者)の不在
- 専門部署、プロジェクトチームの不在
- 経営者・IT部門・業務部門の協調
- 日米企業がIT部門に求めることの違い
- 誰とパートナーシップを結ぶべきか
- DX人材確保の方法
- 技術者のスキルの陳腐化を回避する
- DX戦略の策定に役立つ「DX成功パターン」
- 協調領域(非競争領域)における自前主義の排除
- 他社と共同利用できる共通プラットフォームの構築
- 競争領域におけるITシステムはアジャイルを意識
- SoE(Systems of Engagement)の開発はサイクルを意識
- SoEの開発手段は自社開発とSaaS利用がおすすめ?
- 日米の開発形態の違いと今後のベンダー企業の立ち位置
- 目的を把握したうえでデータを収集すべき
- 米国企業は専有データ獲得に注力している
- 専門的で高度なデータ分析において、日本は大きく遅れている
- データ分析を促進するCDOとCoE
第5章 成果評価とガバナンス
日本では失敗を許容しにくい硬直的なガバナンスがDXの妨げになっていると言われています。アジャイルな考え方に基づくガバナンスを整える際に重要な観点を見ていきます。
- 顧客価値提供視点での成果評価を設定し、短期間で評価する
- 事業戦略の推進プロセスの評価や見直しも、高い頻度で行うべき
- サイバーセキュリティリスクを経営リスクの1つとして認識せよ
第6章 コロナ禍を契機とした企業の取り組み
コロナ禍によって、withコロナ、afterコロナを意識した企業変革に取り組む企業が散見されました。人々の製品やサービス、働き方に対する固定観念が大きく変化している今、デジタル技術を活用し、ニューノーマル時代に適した企業変革を達成できるかどうかが、企業の競争優位性を大きく左右するでしょう。
- コロナ対策としてのIT利活用でも日米の差は縮まらなかった
第3部 デジタル時代の人材
第1章 日米調査にみる企業変革を推進する人材
DXを推進する人材が不足していると言われる現状を、さまざまな角度からの調査で分析しています。また、調査の結果から、デジタル時代に必要とされる人材の特徴と、人材不足問題の解決の糸口や方向性を提言してくれています。
- DXを推進するリーダーに求められることは日米で異なる
- 人材の「質」と「量」の両面に不足を感じる日本
- 職種に限らず満遍なく不足している
- 従業員規模が301人以上1,000人以下の企業が最も人材不足
- 必要な人材の「量」の不足感が低い米国企業の特徴とは
- 「プロダクトマネージャー」、「ビジネスデザイナー」を育成したい
- 「組織を超えた協力・協業」がDX人材を増やす鍵
- 米国のキャリアサポートの手厚さ
- 自社社員の競争力に自信を持てるか
- 全社員のITリテラシーレベルの把握、向上に向けた取り組みの遅れ
- Di-Liteに注目
- 製造業における日米企業の人材育成についての意識差
- 情報通信業における日米企業の人材育成についての意識差
- EX(従業員体験)の向上に取り組むべき
- 変革を推進するために社員から求められていることとは
- 米国企業の社員の多くが、変革を推進するための取り組みに満足している
第2章 スキル変革を推進するためのデジタル時代の人材に関する国内動向
この章では、これまでの日米比較とは異なり日本国内のみに着目し、2020年度調査(「デジタル時代のスキル変革等に関する調査」)や、IPAが2009年から2020年の間発行してきた「IT人材白書(IT人材動向調査)」の調査内容を継承した章となっています。
日本における人材を取り巻く環境変化や採用、外部人材の活用、社員の学び直し(リスキル、リスキリングとも呼ぶ)といった人材確保のための現状の分析から、施策のヒントまで提示してくれています。
- 第4次産業革命の実現に欠かせない、人や組織のマネジメントの改革
- IT人材は推計約135万人
- IT人材が所属する企業の国際比較は2022年度に実施予定
【デジタル時代の人材の環境変化】
- IT部門以外の「事業部門等、他部門」に増えるIT関連の「新事業(業務)の実施」
- IT部門に任せるIT業務は「全社ITの企画」と「情報セキュリティリスク管理」
- IT業務の内製化状況は、全体傾向の変化なし
- 事業会社はIT企業より自社のIT人材を把握できていない
- 事業会社の9割弱がIT人材の「量」「質」両方に不足を感じている
- IT企業も8割強がIT人材の「量」「質」両方にやや不足を感じている
【効果的な人材確保】
- 「中途採用」、「新卒採用」を初めさまざまな方法でIT人材を確保している「DXに取り組んでいる企業」
- 「ユーザー企業のIT部門」の中途採用率に変化
- 「リファラルにおける紹介者からの情報」も参考にすべき?
- 「人材の「質」」と「採用予算や人件費の制約」が採用する阻害要因
- スキルを活かす”場”があるか
- DXの成果のない企業は「ビジネスデザイナー」を重要視している
- DX成果のある企業は「中途採用」「既存人材」でIT人材を獲得している
- 「DX成果あり」の企業でもIT人材は不足している
- 先端IT従事者かどうかにかかわらず転職に消極的
- 「良い条件の仕事かどうか」が転職先の判断基準
【人材活用施策の改善】
- IT人材の5つの転換タイプ(自発転換、受動転換、当初から先端、転換志向、固定志向)
- 先端IT従事者の予備軍である「転換志向」タイプのIT人材は多い
- 先端IT従事者の4割が業務転換を2016~2021年に経験している
- 転換志向者はIT企業、システム系事業会社の人材だけじゃない!
- 先端業務への転換の壁は「スキル習得の自信」と「学び直しの時間的負荷」
- 「小さな成功体験を得られる場の提供」と「勤務制度等の人事制度の見直しおよび、負荷を軽減するための支援策の整備」が、先端業務へ転換させるカギ
- 転換タイプ別のスキル習得の方法
- 最も身につける必要を感じているのは 「AI/人工知能」の技術やスキル
- 「転換志向」「固定志向」タイプは、先端領域のスキルを学んでも活かす機会がない
- ITフリーランスでも組織の業務転換によって先端IT従事者になっている
- 英語より技術と数学
- ITフリーランスは、GitHubやKaggleで自身のスキルレベル・市場価値を測っている
- DX成果のある企業は「手挙げによる選抜」と「全体の底上げ」で人材確保
- 事業会社側からみたIT人材育成の課題は、「スキル獲得させるための時間確保」と「育成戦略や方針が不明確」であること
- 学びの支援が整備されているDX成果ありの企業
- DX成果のある企業が実施する社員の検証モチベーションを高める施策
- 社内IT人材の評価基準を社内に持っているIT企業以外の事業会社は少ない
- 「ITスキル標準(ITSS/ITSS+)」を社内基準の参考にすべき
- IT人材の教育費用は前年度と変わらない企業が多数
- 企業と社員個人が求める組織と企業文化・風土の認識の差と考察
第4部 DXを支える手法と技術
第1章 開発手法・技術
現在は「VUCA(ブーカ)」の時代と呼ばれ、ビジネスや市場、組織、個人の環境変化の激しく、企業は、移り変わりの早い消費者ニーズ、トレンドに対応していかなければなりません。経済産業省が提唱する「2025年の崖」で懸念されているように、従来のITシステム、開発手法では競争力の維持は困難です。
本章ではDXの実現に必要な開発手法と、ITシステム開発技術、それら開発手法・技術の活用状況と課題の調査、活用の方向性の検討を行っています
【企画開発手法】
<「デザイン思考」で素早く消費者ニーズを具体化>
- デザイン思考のプロセス、5ステージ
- デザイン思考に失敗しないために気をつけたい5つのこと
<「アジャイル開発」で素早く開発し、環境変化やニーズに即時対応する>
- スクラムとは
- アジャイル開発を進めるにあたり注意したい3点
①経営層がアジャイル開発を理解する
②アジャイル領域の見極め方
③人材をどこから集め、どう配置するか - 「コーポレートIT」にもアジャイル開発を導入する価値はある
- 「要件が明確」「改修などの頻度が少ない」ことがあらかじめわかっているか
- 開発規模が大きい場合
<「DevOps」で素早くリリースし、アジャイル開発を支える>
- コードデプロイプロセスでコードコミットから本番環境へのリリースまでのプロセス全体を自動化すべき
- リリースまでの各プロセスステージ
- コードデプロイプロセスの自動化を実現させる2つの要素(CMとCD/CI)
①品質を左右する「構成管理(Configuration Management:CM)」
②クリック一つで検証可能になるテストシナリオを作る「CI/CD(継続的インテグレーション(Continuous Integration)/継続的デリバリー(Continuous Delivery))」 - ノーコード/ローコードツールで開発すべきシステムとは
- 業務部門に任せきりにしてはいけない
- CI/CDを行う際の3つの注意点
①セキュリティ検証の自動化を忘れない
②無闇に自動化せず、自動化の範囲を定める
③開発者にもテストを意識させる
<「ノーコード/ローコードツール」でシステム開発を効率化>
- 業務部門主導で、現場のニーズにマッチしたサービスを効率よく開発可能
- ツールを選定する前に知っておきたい3つのデメリット
①大規模な業務システム開発に向かない
②実装機能に制限がある
③ベンダーロックインの可能性がある
<導入プロセス>
- 小さく立ち上げて育てていく3つのポイント
①部分的なITシステム開発への導入から始める
②小さい組織への周囲の理解を深める
③ビジネス部門を巻き込んで体制を作る
【ITシステム開発技術】
- 開発スピードを高める方向にITアーキテクチャーは進化し続けている
- DX時代に求められるITアーキテクチャーの特徴
- 知っておきたいEA(エンタープライズアーキテクチャー)の考え方
- テクノロジーアーキテクチャー(TA)及びアプリケーションアーキテクチャー(AA)の動向について
<クラウド>
- クラウド利用を躊躇する理由と対策
- CCoE(Cloud Center of Excellence)
<コンテナ>
- コンテナセキュリティガイドとは
<マイクロサービスアーキテクチャー / API>
- コンテナとマイクロサービスアーキテクチャー
- サービスメッシュとマイクロサービスアーキテクチャー
- Netflixも導入している
- 各チームの最大人数は8名まで
【開発手法・技術の活用状況と課題】
- 日米で顕著なITシステムに必要とされる機能への意識の差
- スピード・アジリティに対する意識が高い米国
- 日本のDX取組みの遅れは企業文化に関する課題認識の低さか
- 共通プラットフォームの利用は米7割に対し日本たった1割
- 日本における共通プラットフォーム利用への障壁
第2章 データ利活用技術
データを分析から顧客のニーズを捉え、サービスの立ち上げ、改善のサイクルを回し顧客価値を高めることはDXの推進に欠かせません。本章では、進化し続けているデータ利活用技術として「データ活用基盤」「AI」「IoT」の概要と活用状況、課題について理解を深めることができます。
<データ活用基盤技術>
- データ活用基盤は機能を拡張する前提でスモールスタート「Think Big, Start Small」
- データ活用基盤の全体像と各技術について
- データアーキテクチャーを定義する
- コアデータとデータモデルのイメージ
- 導入のため検討プロセス
- 既存のデータ活用基盤の再構築を検討する(ANAの事例)
<AI技術>
- AIを理解するための9つのキーワード
- 注目すべき4つの先端技術
①自然言語処理
②AIの導入・運用を容易にするための技術(API化、AutoML、MLOps)
③フェデレーテッドラーニング検証と分散検証
④量子機械検証
- 医療分野での利用
- Pfizer, Saama、Moderna
- エネルギー分野での利用
- Royal Dutch Shell
- 航空分野での利用
- Air France-KLM
- 海運分野での利用
- Maersk)
- 購買テック(小売り)分野での利用
- Walmart IRL
- Carrefour
- Ocado
- 製造業での利用
- BMW Group
- Nokia
- General Motors
- Autodesk
<IoT>
- IoTとは
- IoTの構成要素の発達
①5G、ローカル5G
②エッジコンピューティング
③デジタルツイン - 4つのIoT活用事例
①可視化(アクア株式会社、Rockwell Automation)
②ITとOTの連携(Daimler Trucks North America)
③AIを用いた分析・予測(ASUS)
④デジタルツイン(キオクシア、BMW、シンガポール、日本、杭州市(中国)) - データ収集を第一目標に、スモールスタートで始める
- 複合技術であることによる導入・運用の障害
<データ利活用技術の活用状況と課題>
- 日本企業の約7倍の米国企業が「データ整備ツール」を活用している
- データ活用技術導入の最大の課題は「人材の確保」
- データ分析環境の整備で大幅に遅れをとる日本企業
- AIを顧客価値の向上に使う米国企業と業務改善に使う日本企業
- 深層検証以外の技術に注目せよ
- 職種に限らずAI人材が不足している。
- 製造業、情報通信業で活用が盛んなIoT
- 米国の顧客価値志向はIoTの導入目的にもあらわれている
14社への企業インタビュー
各部末には、企業インタビューが掲載されています。提言されているDX推進のためのHow toを実践している企業が回答しており、実施した具体的なルールや施策、それらを運用していくためのリーダーの思考を覗くことができます。
全回答企業の一覧
- i Smart Technologies、旭鉄工株式会社
- 旭化成株式会社
- SGホールディングス株式会社
- 中外製薬株式会社
- 日本郵船株式会社
- 株式会社りそなホールディングス
- 旭化成株式会社
- 清水建設株式会社
- 日本郵船株式会社
- 株式会社ベネッセホールディングス
- 旭化成株式会社
- インフィック株式会社、株式会社まごころ介護サービス
- SBIインシュアランスグループ株式会社、SBI損害保険株式会社
- 日本航空株式会社
コラムについて
DXに関わるリーダーシップや技術、企業倫理、コーポレートガバナンスなど多岐にわたるテーマについて、その道のプロフェッショナルがコラムを書いています。
各章の途中にあるため、気になるテーマがある方は以下のページを参考にしてください。
第2部
- p.40 「経営戦略とDXの取組を関連付けるには」株式会社三菱ケミカルホールディングス 執行役員 CDO(Chief Digital Officer) 浦本 直彦
- p.42「日本企業に求められる『攻めのDX』ネットイヤーグループ株式会社」 取締役 チーフエバンジェリスト 石黒 不二代
- p.60「ダイナミック・ケイパビリティをDXに適用する」慶應義塾大学商学部・大学院商学研究科 教授 菊澤 研宗
- p.75「アジャイル変革とスマートコラボレーション」ハーバードロースクール 特別フェロー Heidi K. Gardner
第3部
- p.100「DXに必要な人材像、エンジニアよりも重要な存在」株式会社日経BP 総合研究所 イノベーションICTラボ 所長 石川 尚樹
- p.119「海外比較を通じたDXに関する日本の人材育成とリカレント教育」早稲田大学 理工学術院 基幹理工学部 教授 鷲崎 弘宣
- p.158「DX時代のリベラルアーツを体現したパターンランゲージ『トラパタ』のススメ」株式会社豆蔵 取締役 グループCTO 羽生田 英一
- p.162「人材像の変化と対策 名古屋商科大学大学院 准教授 小山 龍介)
- p.165「データドリブンな企業になるための変革と人材育成」 Design for People, AI Transformation Leader Jeff Hunter
第4部
- p.260「AI倫理とは何であるべきか?」札幌市立大学 理事長・学長 中島 秀之
- p.271「DX推進の困難とそれを乗り越えるための手法」北陸先端科学技術大学院大学 知識科学系 知識マネジメント領域 教授 内平 直志
- p.291「外部組織を交えたデータ流通におけるブロックチェーンの活用」独立行政法人情報処理推進機構 社会基盤センター イノベーション推進部 主任 安田 央奈
- p.293「量子コンピューティングの自社導入に向けて」独立行政法人情報処理推進機構 社会基盤センター イノベーション推進部 主任 鷲見 拓哉
- p.295「いかにして新しい手法や技術を組織に取り入れるか」Digital Transformation Executive & Principal Consultant Janus Insights LLC Gustav Toppenberg
付録について
305ページから355ページの計50ページにわたり、付録として第1部にAI技術に関する基礎知識のまとめ、第2部に各国の政府が取り組んでいるデジタル施策や規制について紹介しています。
付録
- 第1部 AI技術
- 第1章 AI技術 ~知的活動を実現する基礎技術~
- 第2部 制度政策動向
- 第1章 総論
- 第2章 国内におけるデジタル関連の制度政策
- 第3章 米国におけるデジタル関連の制度政策
- 第4章 欧州におけるデジタル関連の制度政策
- 第5章 中国におけるデジタル関連の制度政策
(まとめ)DX白書2021を読む
日本企業のDXは遅れていると言われますが、なぜデジタル技術の活用が重要なのか、どれくらい日本が遅れているのかという疑問に対して回答するのは容易ではありません。
DX白書はそのなんとなくの主張・考えの根拠となる調査データを示してくれています。さらに、施策の方向性を示してくれているところにも一読の価値があります。
また、DX白書は、DXの概観や各企業の現状、施策、方針についてまでよくまとめられています。DXの正しい理解と最新のトレンドをキャッチアップするために、業界人であればDX白書は必読と言えます。
DXに取り組んでいる、取り組もうと考えている企業は、DX白書の内容を全て理解する必要はないと思いますが、
検討しなければならないポイントがどこであるかをDX白書から学び、社内の改善やビジネスに活かしていくことをおすすめします。
サイバーウェーブは御社のDXを支援します
サイバーウェーブは、発注した段階でシステムの7割が完成している高品質・短納期・柔軟なシステム「VALUE KIT」をベースに、お客様のデジタルトランスフォーメーション(DX)を支援しています。どうぞお気軽にお問い合わせください。