すでにさまざまな企業が参入しているサブスクリプションビジネス。成功するためには、いかにほかにはない商品やサービスを提供できるかが大切ですが、「管理システムの構築」も同様に重要なポイントです。サブスクリプションビジネスを行ううえで重要となる、管理システムについてお伝えします。
サブスクリプションビジネスをスタートさせる際の流れ
サブスクリプションビジネスをスタートさせるには、どういった準備が必要なのか、標準的な流れを見ていきましょう。
- 商品選定
ユーザーは提供される商品に魅力があるかどうかで利用の判断をするため、商品選定はサブスクリプションビジネスを行ううえでもっとも重要な工程です。
サブスクリプションビジネスに向いている商品は、一度購入すればしばらく必要がないような売り切り型の商品ではなく、月1回程度は利用するタイプの商品でなければいけません。 - 管理システムの構築(請求、決済システムを含む)
ユーザー登録、請求、決済システムなどサブスクリプションサービスのシステム構築も必須の工程です。特に請求や決済システムまわりの設計が不十分では、ユーザーに金銭的な損失を与える可能性があります。企業の信用を落としてしまうリスクが生じるため、しっかりとした設計、構築が重要です。 - 商品登録
選定した商品を登録する部分も、システム設計が重要です。登録の手間がかかってしまうと無駄なコストが生じるため、できるだけ自動で進められるシステムにする必要があります。 - Webサイト制作
バックヤードが整ったら、表側になるWebサイトの制作です。サブスクリプションサービスでもっとも重要なポイントは、ユーザーが目的の商品を見つけやすくすることです。検索はもちろん、索引、カテゴリ分けなど複数の方法を用意し、利便性を上げるような設計を行います。
サブスクリプションビジネスで管理システムを重視すべき理由
サブスクリプションビジネスを始めるための一連の流れのなかで、「商品選定」と並び、「管理システムの構築」が重要な工程である理由は何でしょうか。サブスクリプションビジネスの管理業務には、以下のリスクがあるからです。
- ユーザー数の増加につれて請求管理が煩雑化する
サブスクリプションは継続利用が基本です。そのため、1回の購入で完結する通常のECサイトに比べ、ユーザー数が増えれば増えるほど請求管理は煩雑化します。
決済方法、利用頻度、プランなどでは、選択肢が多くあればユーザー受けがよく、長期の継続につながります。その反面、クレジット決済、キャリア決済、口座振替、コンビニ決済、代金引換といった決済方法や、利用頻度、プランの選択肢が多岐にわたれば、管理は複雑化します。
そのため、ユーザーが増えてサブスクリプションビジネスが軌道に乗っても、管理システムが十分機能しなかった場合、人手に頼りミスが増えると、ユーザーの不満が高まるおそれがあるのです。 - ユーザーの利便性が落ちてしまう
契約や契約プランの変更などがスムーズに行えないシステムでは、ユーザーにとってストレスとなり、解約に結びつくおそれがあります。一定数の解約はビジネスでは起こりえますが、悪印象を持たれたままの解約では会社への悪評につながるリスクが生じます。 - 自由度の高さを損なう
サブスクリプションビジネスでは、毎月、年2回、年1回払いといった「選択肢の多さ」や、一度アップグレードしてもすぐに元に戻せるといった「自由度の高さ」が、会員の解約を防ぎ長期利益に結びつきます。しかし、自由度が高ければ高いほど、管理業務は煩雑になってしまいます。管理システムが自由度の高さに対応できない場合、管理業務の煩雑化を抑えられず、ユーザーの自由度を確保できません。 - 人材コストの増大
初期段階では無料ユーザーが多いため、利益を出すことが難しいサブスクリプションビジネスでは、コストの増大はビジネスを継続していくうえで大きなデメリットです。人材コストの軽減を実現するためには、多くの管理業務を自動化できる管理システムを構築する必要があります。
以上のように、適切な管理システムの構築ができなければ、ユーザーの不満からくる解約数の増加、管理の煩雑化、人材コストの増大といったさまざまな不都合が生じるのです。
では、これらのリスクを避けるためには、どのような管理機能が必要なのでしょうか?
サブスクリプションビジネスに必要な管理システムとは
サブスクリプションビジネスの管理システムを構築する方法と必要な管理機能を見ていきましょう。
サブスクリプションビジネスの管理システムを構築する方法
サブスクリプションビジネスにおいて管理システムを構築する方法には、大きく分けて「自社開発をする」「サブスクリプション支援システムを利用する」のふたつがあります。自社開発の場合、ゼロから構築していかなければならないため、社内に専門知識のある人がいない限りは非常に困難です。
一方、サブスクリプション支援システムは最低限の機能がそろっており、専門的な知識がない場合でも構築は不可能ではありません。ただしシステムの種類にもよりますが、多くはパッケージ化されているためカスタマイズ性が低く、自社独自のサービスや機能を追加することは困難です。
サブスクリプションビジネスに必要な管理機能
管理システムとして最低限必要な機能は次のとおりです。
- ユーザー情報管理
契約、解約、契約の変更(アップグレードやダウングレード、プラン)、休止といった契約情報を管理するための機能です。ユーザーがどのコンテンツを利用したかを分析して管理する機能も必要です。 - 請求書発行管理
サブスクリプションビジネスでは通常、定期的に料金を請求し、電子決済で処理を行います。管理システムには、請求から決済を自動的に行う機能が求められます。 - 決済手段
サブスクリプションビジネスでは、電子決済だけでもクレジットカードやQRコード決済などさまざまな決済手段があり、さらに口座振替やコンビニ決済などもあります。ユーザーがどの決済手段で契約しているのかを管理し、さらに月払い、年払いといった支払い頻度、決済後に入金確認をするといった機能も必要です。
管理システムの選び方については、「サブスクリプションビジネスを始めるなら管理システムを利用するのが近道」をご参照ください。
サブスクリプションビジネスを成功させるには管理システムが鍵を握る
サブスクリプションビジネスでは、通常のECビジネスのように1回単位の請求・決済ではなく、定期的に請求・決済を繰り返していく必要があります。そのため、どうしても管理は煩雑になりがちです。また、ユーザーが増加するにつれ管理面の負担が増えます。提供する商品やサービスの質を向上させることに注力するためにも、しっかりとしたシステムを導入し、できるだけ手間をかけずに管理できる環境にしておくことが大切です。