これからサブスクリプションビジネスを始めようと考えている企業は少なくないでしょう。しかし、現在提供している自社の商品やサービスをそのままサブスクリプションシステムにのせても、成功するとは限りません。サブスクリプションビジネスの販売システムは、通常とは異なります。サブスクリプションサービスを始めるにあたり、商材とシステムの両方をカスタマイズしていく必要があるのです。では、どのようにカスタマイズしていけばいいのでしょうか?
サブスクリプションサービスを開始するには何が必要か
多くの場合、既存の事業をそのまま、サブスクリプションサービスで提供することはできません。次の要素が必要です。
- サブスクリプションサービスでの提供に向いている商材(商品やサービス)
- サブスクリプションサービスを提供するためのシステム
商材やシステムにはカスタマイズが必要
多くの企業では、現在の商材のままでは、サブスクリプションサービスを成功させることはできないでしょう。サブスクリプションサービスでは、従来の店頭販売やECサイトでの販売とは異なる特徴が求められるからです。また、サブスクリプションサービスを提供するためのシステムには、通常のECサイトとは異なる機能が必要になります。サブスクリプションサービスを始めるためには、商材やシステムのカスタマイズが必要になるのです。
さらに、自社の企業風土がサブスクリプションサービスに向いているかどうかも大切なポイントです。
商材のカスタマイズとは
サブスクリプションサービスを始める前に、商材の特徴を確認しましょう。自社の商材をサブスクリプションサービスにふさわしい方式にカスタマイズする必要があります。
サブスクリプションサービスに向いている商材の条件とは
サブスクリプションサービスに向いている商材は、次のふたつの条件を満たしています。
- 継続的に利用するもの、またはコンテンツである
1回購入すればすむような売り切り型の商材では、サブスクリプションサービスが成立しません。 - 最低でも月1回程度は利用するもの、またはコンテンツである
継続的に利用される商材でも、利用頻度が低すぎれば、サブスクリプションサービスとして利用する顧客はいません。月額料金制のことが多いので、月1回程度は利用される商材が向いています。
サブスクリプションサービスの種類と適した商材
サブスクリプションサービスは、商材の提供方法によって4種類に分けられ、適した商材が異なります。
- 会費制モデル
会費を支払うことで、サービスを受けることができます。Amazonプライム、Netflixといった動画配信サービス、Apple Musicなどの音楽配信サービス、施設の年間パスポート、会員制ショップなど、有名なサービスが多いモデルです。
適した商材:店舗や施設、デジタルコンテンツ、レンタル・シェアリングサービスなど - レコメンドモデル
個人の好みや購買履歴、行動履歴に合わせて、専門のキュレーターが一定の価格帯で選んだ商材を組み合わせて届けるサービスです。提供する商材は顧客ごとに異なります。顧客の好みをどのように吸い上げ、どのように商品に反映させるかがポイントです。
適した商材:ファッション、雑貨、栄養食や医療食、中食など - 消耗品モデル
消耗品を一定の間隔で提供します。毎回同じ商材が届くサービスとしては、サプリメントや化粧品などの定期販売サービスが有名です。毎回異なる商材が届くサービスとしては、季節によって内容が変わる無農薬野菜の詰め合わせや魚の詰め合わせなどがあります。
適した商材:消耗品、食品、飲料、健康食品など - 頒布会モデル
コースごとにあらかじめ決められたテーマの商品を一定の回数、間隔で提供するサービスです。テーマは、例えば「ドラマで使用された洋服」、「人気アーティストがセレクトした化粧品」などがあります。顧客はコースを選ぶことはできますが、コース内で商品を選ぶことはできないのが一般的です。
適した商材:書籍、消耗品、食品、化粧品、ファッション
サブスクリプションサービスに向いている企業
商材とも関係しますが、企業風土にも、サブスクリプションサービスに向いている企業と向いていない企業があります。
- サブスクリプションサービスに向いている企業
顧客とのコミュニケーションを積極的に構築できる企業 - サブスクリプションサービスに向いていない企業
商材が売り切り型である、ヘビーユーザーが多くサブスクリプションを行うメリットがない、あるいはカスタマーサービスが弱い企業
サブスクリプションサービスを考える場合は、これらの観点から、もう一度自社の商材や企業風土がサブスクリプションサービスに向いているかを検討しましょう。向いていない場合は、商材や企業風土を大きく変えていく必要があります。
実際の成功事例や失敗事例を見ると、どの方向に変えていけばいいのかを把握しやすいでしょう。「サブスクリプションを成功させるポイントは? 7つの事例から考えよう」をご参照ください。
システムのカスタマイズとは
サブスクリプションサービスを提供するには、顧客管理や決済の部分で、通常のECサイトとは異なる機能を持つシステムが必要です。
サブスクリプションサービスのシステムを開発するには
ECサイトのシステムを開発するには、IT系の企業でない限り、開発支援システムやプラットフォームを利用するのが普通です。開発支援システムやプラットフォームでは一般的なサービスの枠組みを提供していますが、そのまま自社のサービスに使える部分は少なく、カスタマイズの必要があります。
カスタマイズが必要なのはこの部分
主に次のような部分でカスタマイズすることになります。
- コンテンツに関する部分
提供するコンテンツを配信したり商材を発送したりする機能です。顧客の購入サイクルに合わせて必要な配信や発送を行います。複数の料金プランの設定やコースごとの内容を管理する機能も必要です。 - 顧客管理に関する部分
顧客情報の管理を行います。顧客の個人情報や属性など基本的な情報と、顧客の契約プランの管理(アップグレード、ダウングレード、休止、再開など)を管理する部分です。また、顧客ごとに異なる決済方法や支払日から、決済状況を管理します。
さらに、レコメンドのために顧客の利用状況を分析する、ユーザーサポートとのやりとりを記録するのも顧客管理に含まれます。場合によっては、売り切り型のECサイトや店舗販売で利用しているCRMシステムやERPシステムとも連携します。 - 決済に関する部分
顧客ごとの利用量と料金の正確な計算を行います。無料トライアル期間から有料プランへの移行や日割り計算などの処理も必要です。サブスクリプションサービスでは支払いのほとんどがデジタル決済で、さまざまな決済方法に対応しなければなりません。例えば、電子マネー、クレジットカード、キャリア決済、コンビニ決済などです。
なお、開発支援システムやプラットフォームでは、カスタマイズでは対応しきれない部分があることも少なくありません。また、同じものを使うと似たようなサービスになってしまい、ほかと差別化が図りにくいリスクもあります。
サイバーウェーブのサブスクリプションVALUE KITも選択肢に
開発支援システムやプラットフォームを利用する場合、多くのカスタマイズが必要になるなら、サイバーウェーブのサブスクリプションVALUE KITがおすすめです。
サブスクリプションVALUE KITは、さまざまな機能を提供する「部品」から必要なものだけを組み合わせて、自社に合ったサブスクリプションサービスのシステムを開発します。
カスタマイズできる部分も多く、開発支援システムやプラットフォームよりも自社に合ったシステムにすることが可能です。また、必要な部品だけを組み合わせてシステムを構築するため、ほかのサービスと差別化ができます。
サブスクリプションサービスを始めるには市場に合わせたカスタマイズが必要
紹介したように、サブスクリプションサービスを始めるには、「商材」と「システム」のふたつのカスタマイズが必要です。競争が激化しつつあるサブスクリプションサービスを成功させるために、システムのカスタマイズには、開発支援システムやプラットフォーム、あるいはサブスクリプションVALUE KITのようなサービスを利用し、商材のカスタマイズに力を注ぐ方法が効率的です。