市場の成熟化、商品・サービスのコモディティ化が進み、多くの企業で新規顧客の獲得が今まで以上に難しくなっています。そのなかで企業が今後も成長を続けていくには、既存顧客の維持が重要になります。既存顧客を維持するための施策はいくつか考えられますが、会員制サイト(コミュニティサイト)の構築もそのひとつです。今回は会員制サイトについて、構築する目的、求められる背景やメリット・デメリット、効率的に構築する方法をお伝えします。
会員制サイトを構築する目的
ひと口に会員制サイトを構築するといっても、企業によりその目的はさまざまでしょう。具体的には次のようなことが考えられます。
- ネットショップで会員登録をしたユーザーに、新商品の先行販売やプレゼントキャンペーンを実施する
- 商品やアーティストのファンサイトで、会員だけが閲覧できるブログや画像の提供を行う
- BtoB企業のWebサイトで、取引先にのみ見積金額の提示や新商品の情報提供を行う
- マッチングサービスを行うWebサイトで、会員同士がコミュニケーションできる場をつくる
- 大学や専門学校、資格講座などのWebサイトで、スケジュールの公開や資料の配布を行う
- 企業のWebサイトで、採用内定者向けのコミュニケーションやオンライン研修の場をつくる
以上のような目的に合った機能を選択して、会員サイトを構築していくことになります。構築に必要な基本的機能については「会員サイトに必要な機能や構築する際のポイントとは」をご覧ください。
なお、上記の目的のうち上から3番目までが、既存顧客の維持を実現するための施策として企業が会員制サイトを構築する目的にあたります。
会員制サイトが求められるようになった背景
多くの企業で会員制サイトが求められるようになった背景には、冒頭でも触れたように、既存顧客の維持が以前よりも重視されるようになったことがあげられます。
多くの業界で市場の成熟化が進み、新商品や新サービスのライフサイクルが従来よりも短くなっているうえ、新規顧客の獲得には高いコストが必要です。マーケティングの世界では、新規顧客の獲得コストは既存顧客を維持するコストの約5倍かかるといわれていますが、この状態が続けばその差はさらに拡大する可能性があります。
Webサイトを活用して既存顧客の維持を実現する方法としては、ネットショップであれば、ポイント制や購入金額に応じた送料無料などの施策、企業サイトであれば、ホワイトペーパーや業界最新情報の提供などがあります。
しかし、これらの施策は、競合がその上を行く戦略を実行すれば、すぐに移行されてしまう可能性があるのです。そうなれば、競合同士での争いが激しくなり、最終的には資本力のある企業しか生き残れなくなってしまうでしょう。
顧客離れを阻止し、企業が成長を続けていくには、企業や商品・サービスに対して愛着や信頼を感じてもらう必要があります。会員制サイトであれば、単なるサービスの提供だけではなく、顧客とのコミュニケーションが実現します。また、新商品の先行発売や取引先だけへの見積提示など、値段の安さだけではなく、有益な顧客体験の提供も可能です。そのため、会員制サイトの需要は年々高まっているのです。
会員制サイトのメリット・デメリット
実際に会員制サイトを構築するうえで生じるメリットとデメリットを紹介します。
会員制サイトを構築するメリット
- 会員の満足度が向上する
非会員との差別化、人気商品の優先販売、会員だけの特別情報の提供など会員向けのサービスを充実させられるため、会員の満足度の向上が期待できます。 - 自社の会員の個人情報を入手できる
会員登録をしてもらうことで顧客の個人情報を入手できるため、それをマーケティングに生かすことができます。また、会員へのアンケートやインタビューを実施することで、ターゲットが求める商品開発のヒントも得られやすくなるでしょう。 - 自社や自社商品のファン化
会員限定の特別サービスを提供することで、自社や自社商品に強い愛着を持ってもらいやすくなります。その結果、会員が家族や友人に自社商品を紹介してくれるようになれば、新規顧客獲得につながります。
会員制サイトを構築するデメリット
- 会員が増えなければ効果が期待できない
当然ながら、何もしなければ会員は増えないため、会員獲得のために施策を講じる手間はかかります。また、コミュニティを重視した会員制サイトの場合、会員が増えなければコミュニティも活性化しないため、既存会員が離脱してしまうリスクが増大します。 - 管理の手間がかかる
会員からクレームを受けないために、管理を徹底する手間がかかります。専用の管理担当者の配置が必要な場合もありえます。
会員制サイトの構築する際の作り方や費用
会員制サイトを構築する方法は大きくふたつあります。ひとつはすでにあるサービスを利用する方法、もうひとつは、自分たちで構築する方法です。
すでにあるサービスとしては、FacebookグループやWix、Jimdoのような無料の会員制サイト作成システムがあります。しかし、これらは他企業が提供しているサービスのため、サービスが終了したり急に規約が変更されたりする可能性があります。そのため、企業の会員制サイトとして利用するのはおすすめできません。
企業が会員制サイトをつくるのであれば、自分たちで構築する、もしくは外部に依頼する方法が適しているでしょう。具体的には次のようなものが挙げられます。
WordPressやDrupalなどのCMS
プラグインが豊富で用途に応じた会員制サイトを、少ない費用で構築可能です。ただし、PHPやHTMLの知識が必要になり、サポートはWebサイトのみのため、初心者がゼロから構築するのは難しいでしょう。また、CMSは世界中で利用者が多いため攻撃の的(まと)にされやすく、セキュリティ上の不安といった課題もあります。
構築をすべて内製で行う場合、かかる費用はサーバー代やドメイン費用だけです。
会員制サイト構築専用のCMS
会員制サイトを構築するためのCMSです。WordPressやDrupalなどの一般的なCMSよりも高機能なサイト構築が可能で、電話やメールによるサポートもあります。しかし、そのぶん費用は高くなります。
機能や会員数によって費用は大きく異なりますが、数十万円から数百万円程度が一応の目安です。
外部専門業者に構築を依頼する
もっとも自由度が高く、自社の目的に合った会員制サイトの構築が可能です。自社内にWebサイト構築のノウハウがない場合は、管理の依頼ができる場合もあります。セキュリティ対策も可能ですが、費用はほかに比べて高額になります。
会員制サイト構築専用のCMS同様に、機能や規模によって費用は千差万別です。相場を出すのは困難ですが、一応の目安としては、数百万円から数千万円になる場合もあります。
VALUE KIT
費用を抑えながらセキュリティや使い勝手の良い会員制サイトを構築したい場合は、サイバーウェーブのVALUE KITの活用がおすすめです。
VALUE KIT は、会員/会員開始/会員招待/会員グループといった会員制サイトのための機能があり、発注された段階ですでに7割が完成しています。残りの3割のみ開発をすればよいため自由度が高く、スピーディー、かつ低コストです。また、セキュリティ対策も万全です。
会員制サイトの構築方法を理解し、自社に合ったものを選ぼう
顧客満足度を上げ、既存顧客の維持を実現する施策として効果を発揮する会員制サイト。ネットショップやファンサイト以外に、BtoB企業でも使い方によって大きな効果が期待できます。
会員制サイトの構築にはさまざまな方法があるため、自社で構築する場合と外部専門業者に依頼する場合の、それぞれのメリット・デメリットを考慮したうえで、サイトの構築を実現させましょう。