世の中には、聞かれたことに対して、的確な答えを瞬時に返す人たちがいます。的確な答えを瞬時に返せる人たちは、もともと要約力が高い天才なのでしょうか。
要約力は、先天的なセンスではありません。要約力は、後天的に身につけられるスキルなのです。
この記事では、山口拓朗 著『9割捨てて10倍伝わる「要約力」』を基に、要約の極意を解説します。
出典:https://www.amazon.co.jp/dp/4534057911
サイバーウェーブでは「スキルアップ支援制度」として、社員が自己研鑽のための書籍購入を補助する制度があります。『9割捨てて10倍伝わる「要約力」』は、スキルアップ支援制度を利用して手にしました。
究極の「要約」とは
著者が主張する要約力とは「死んでもこれだけは言っておく!」を見つけること。「今、この瞬間、この相手に、死んでもこれだけは言っておきたいことは何か」を徹底的に考え抜くことが、良い要約のコツなのです。
要約の究極形は、愛の告白が分かりやすいでしょう。「あなたが好きです!付き合ってください!」というメッセージは、綺麗に要約されています。
相手への愛をひたすら語るという回りくどい方法も選択肢のひとつです。しかし、相手への愛をひたすら語っても「付き合ってほしい」は正確に伝わりません。
「付き合ってほしい」と伝えてはじめて、自分の言いたいことが相手に届きます。結論が曖昧な話を長々と語られても、相手はただ困惑するだけでしょう。
結論が曖昧な話は「結局、何が言いたいの?」と、悪印象になりかねません。簡潔かつ分かりやすい「あなたのことが好きです!付き合ってください!」は、まさに要約の究極形なのです。
良い要約を実現する3ステップ
良い要約を実現するためには、以下の3ステップを踏む必要があります。
- 情報収集
- 情報整理
- 情報伝達
ステップ1:情報収集
ステップ1:情報収集の目的は、要約に必要十分な情報を集めることです。要約に使う情報とは、以下のようなものを指します。
- 人から聞いた話
- 会議や打ち合わせで耳にしたこと
- 現場で体験したこと
- 五感で感じたもの
- 研修やセミナーで学んだこと
- 書類やメールの内容
- オールドメディアで得た情報
- ニューメディアで得た情報
- 自分の考えや意見
- 自分の予測や仮説
良いインプット無しでは、良いアウトプットは成り立ちません。趣味や専門分野の話では、今すぐにでも分かりやすい説明ができるでしょう。
分かりやすい説明をするためには、それ相応の情報量が必要なのです。しかし、得た情報をすべて「大切な情報」として処理すると、脳がパンクします。
タイトルに『9割捨てて』とあるように、得た情報は取捨選択しましょう。
ステップ2:情報整理
ステップ2:情報整理の目的は、集めた情報を効率的に取捨選択することです。集めた情報を効率的に取捨選択するためには、以下の3つを意識しましょう。
- ゴールから逆算する
- 優先順位を付ける
- 情報をグループ分けする
ゴールから逆算する
情報を取捨選択するときは、ゴールから逆算しましょう。ビジネスにおける要約の本質は、相手に有益な情報を伝えることにあります。
要約のゴールは「相手が求めている情報を伝える」です。相手が求めている情報を絞るためには、不要な情報を排除しなければなりません。
ゴールから逆算する方法は、不要な情報のフィルタリングに役立ちます。
優先順位を付ける
相手が情報を飲み込みやすくするためには、伝える順番を工夫しましょう。伝えた情報が相手に「スッ」と浸透するように、情報でストーリーを紡ぐのです。
「課題Aに対して解決策Bを使い、成果Cを得た」のように順番を工夫し、話の行ったり来たりを避けます。「解決策はB、成果はC、課題はA」と伝えても、強調したい「成果C」はうまく伝わりません。
相手が求めている情報に優先順位を付けることで、ストーリーという飲み込みやすい形になるのです。
情報をグループ分けする
相手の質問に素早く的確に答えるためには、情報を引き出しやすくしましょう。大量の書類を整理するように、脳内の情報にもカテゴリーやタグを最適化するのです。
脳内の情報をカテゴリーやタグで整理することで、脳内検索のスピードを上げられます。あなたが「マニアほどではないものの、それなりにSF映画が好きな人」だとしましょう。
クライアントとの雑談の中で「SF初心者におすすめのタイトルはある?」と聞かれました。あなたは、脳をフル回転させ、SF初心者でも楽しめるタイトルを必死に探すはずです。
検索中の脳内は「タイトルAは初心者向きか……いや、タイトルBのほうが……」と、混乱していることでしょう。情報を予めカテゴリーやタグで整理しておくことで「SF初心者には、タイトルCがおすすめです」と即答できます。
仕事や趣味にかかわらず、入ってきた情報は脳内でグループ分けしておくと便利です。
ステップ3:情報伝達
ステップ3:情報伝達では、整理した情報を相手に伝えます。著者が主張する伝えベタな人の特徴は、以下の2通りです。
- 話しすぎ
- 言葉足らず
情報量は、多すぎても少なすぎても伝わりません。伝える情報量が多すぎた場合、相手は「結論は?」「本題は?」「要点は?」と感じてしまいます。
「話が長い」と言われがちな人は、重要な情報だけを伝えましょう。重要な情報とは、前述の「死んでもこれだけは言っておく!」です。
伝える情報量が少なすぎる場合、相手は「もっと具体的に話してほしい」と感じてしまいます。「具体的に話して」と言われがちな人は、相手が察してくれるという期待を捨てましょう。
主語や目的語、前提条件なしでは、人は情報を処理できません。情報を飲み込みやすくするためには、キーワードの前後を補強する情報が必要なのです。
要約の精度を高めるためには
要約の精度を上げるコツは、情報の本質を見極めることにあります。表面的な情報だけでも、相手が飲み込みやすい形に仕上げることはできるでしょう。
しかし、さらに深掘りした情報(考察や展望など)を加えるためには、本質を理解しなければなりません。
「表面的な情報だけ集めるか」「根本的な情報まで深掘りするか」の違いが、最終的なアウトプットの質を左右するのです。
物事の本質を見極めるためには、以下の2つの力を鍛えましょう。
- 観察力
- 洞察力
観察力とは「目に見える情報」を注意深く見る力を指します。洞察力は、目に見える情報をヒントに「目に見えない情報」を見抜く力です。
著者は、観察力と洞察力の違いについて「前者は木の幹や枝葉を見る、後者は根っこを見る」と解説していました。
本質を見抜く「洞察力」を鍛えるためには、土台となる観察力を鍛えましょう。本質を見抜く手がかりは、目に見える情報の中に隠されています。
手がかりを見抜く観察力なしでは、本質を見抜く洞察力は鍛えられません。人間は、自分が認識できる範囲内でしか物事を考えられない生き物です。
著者は「観察によって認識する情報量を増やすことこそが、洞察力を挙げる唯一のアプローチだ」と主張しています。
さらに分かりやすく伝えるテクニック
明日から使える「さらに分かりやすくなる伝え方」を3つ紹介します。
- 曖昧さを減らす
- 「たとえ」を活用する
- 語尾に気をつける
曖昧さを減らす
アウトプットをより具体的にするためには、内容の「曖昧さ」を減らしましょう。以下のように、日本語は、曖昧な言い回しが豊富な言語です。
- という気がする
- しないとも限らない
- っぽい
- という感じ
- 適当に
- とりあえず
- ちょっと
主語と述語の間に距離がある点も、日本語の特徴だといえます。芸術の世界では、日本語が持つ曖昧さが唯一無二の武器になるでしょう。
しかし、以下の2つが求められるビジネスシーンにおいて、曖昧さは求められていません。
- スピード感
- 明確さ
アウトプット(要約)から曖昧さを取り除く方法は、数字や固有名詞に置き換えること。曖昧な表現を数字や固有名詞に置き換えるだけで、見違えるほど伝わりやすくなります。
「相手が察してくれる」という思い込みを捨てて、積極的に曖昧さを排除する意識を持ちましょう。
Before | After |
参加者が少なくなる | 参加者は2名減る |
駅から少し歩く | 新宿駅から15分歩く |
少なからず損失が出る | 最大で1000万円の損失が出る |
なるべく早く | 今日の16:00まで |
急速に成長 | わずか3年で売上10億円を突破 |
「たとえ」を活用する
著者は「要約力の高い人の多くは、たとえ(比喩)の名手でもある」と主張しています。理屈では伝わりにくいことを、比喩表現でイメージしやすくするのです。
比喩表現を考えるときは、以下の3つに気をつけましょう。
- 事柄とたとえ先の本質が共通していること
- 相手がたとえ先を知っていること
- たとえ先を絵や映像でイメージできること
「その企画は無謀だ」という意図を相手に伝えたいとします。「その企画は無謀だと思う」と理屈で説明しても、相手はなかなか納得してくれません。
「素手で猛獣に挑むようなもの」と言い換えれば、相手も企画の無謀さをイメージできるでしょう。内容をイメージしやすくする「たとえ」も、要約テクニックのひとつです。
比喩表現を活用することで、あなたの話の説得力は格段にアップします。
語尾に気を付ける
相手に何かを説明するときは、語尾にも気を付けましょう。表現のバリエーションが豊富な日本語は、語尾の違いで意味が変わってしまいます。
- 台風の影響だ(断定)
- 台風の影響に他ならない(断定・強調)
- 台風の影響そのものだ(断定・強調)
- 台風の影響かもしれない(可能性)
- 台風の影響だろう(推測)
- 台風の影響ではないだろうか(確認&推測)
- 台風の影響だと言えそうだ(推量)
- 台風の影響に違いない(確信&推量)
- 台風の影響のようだ(体験&推量)
- 台風の影響らしい(伝聞&推量)
「○○だ」と「○○かもしれない」は、一見同じような意味を持った伝え方です。しかし、前者は断定を表すのに対し、後者は可能性を表しています。
自分の意図を正確に伝えるためには、語尾が持つイメージを意識しましょう。語尾ひとつの違いで、あなたの意見は見当違いな伝わり方をしてしまうのです。
要約力はセンスではなくスキル
『9割捨てて10倍伝わる「要約力」』を基に、要約の極意を解説しました。要約力はセンスではありません。要約力は、練習によって身につけられるスキルです。
以下の3ステップを守ることで、誰でも情報を要約できます。
- 「死んでもこれだけは言っておく!」を決める
- プラスαの情報で1を補強する
- 正確な伝え方を考える
死んでもこれだけは言っておきたい情報を見抜くためには、情報を集めましょう。必要十分な情報量がなければ、話の要点を特定できません。
物事を本質まで見抜けると、要約の精度をさらに高められます。しかし、要点だけでは、アウトプットとして不十分です。
キーワードだけに赤線を引かれても、人間は情報をうまく処理できません。キーワード+前後の文章があって初めて、情報を処理できるようになります。
さらに分かりやすく伝えるためには、以下の3つを意識しましょう。
- 曖昧な表現を排除する
- 比喩表現を活用する
- 語尾に気をつける
山口拓朗 著『9割捨てて10倍伝わる「要約力」』は、要約の基礎から応用まで細かく解説されていました。本書は「ゼロから要約力を身に付けたい!」という方におすすめです。
堅苦しい本ではないため「読書は苦手」という方でも通読できるでしょう。この記事で解説した内容は、本書のほんの一部でしかありません。
さらに情報が欲しい方はぜひ、山口拓朗 著『9割捨てて10倍伝わる「要約力」』を手に取ってみてください。
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