一般的にマーケティングの世界では、新規顧客の獲得は既存顧客の維持に比べ5倍のコストがかかるという「1：5の法則」があります。コストを抑えつつ利益を上げるうえで、リピーターの創出は企業にとって重要な課題といえるでしょう。リピーター創出のために効果が期待できる施策のひとつが、ポイントシステムです。今回は、ポイントシステムのメリットや導入費用相場など、ポイントシステムの基礎知識をお伝えします。
リピーター創出に効果が期待できるポイントシステムとは？
顧客にリピーターになってもらうためには、いくつかの施策が考えられます。商品やサービスの質を向上させるのがもっとも重要ですが、それ以外の施策として効果が期待できるのが、ポイントシステムの導入です。
ポイントシステムの例としては、ラーメン店で来店に応じてスタンプが押印され、一定のスタンプ数が貯まるとトッピングや替え玉が無料になる「来店ポイント」があります。また、ネットショップやスーパーなどでは、購入金額に応じてポイントが付与され、次回、あるいは一定のポイントが貯まったら、購入金額からポイント分が割引になる制度もあります。
そのほか、ポイント数に応じて景品や特典を受けられるタイプのものもあり、ポイントシステムの形式はさまざまです。
ポイントシステムの種類
ポイントシステムには、大きく2種類のタイプがあります。
ひとつは、その店舗でしか使えないポイントシステムです。ECサイトでいうとモールを利用しない独自店舗、実店舗でいうと個人商店やチェーン店ではない飲食店などで見られるタイプです。
もうひとつは、複数の店舗で使えるポイントシステムです。Tポイントカードや各種クレジットカードのように提携店舗のどこで使ってもポイントが貯まるもの、チェーン展開している家電量販店やスーパーの各店舗で共通して使えるものなどがあります。そのほか、楽天市場やAmazon、Yahoo! ショッピングなど、インターネットモール内であればどこでも使えるポイントシステムも、このタイプに分類されます。
ポイントシステムを導入するメリット
ポイントシステムを導入するおもなメリットは、冒頭でもふれたように、リピーターの創出です。新規顧客を獲得するよりも低コストで利益を上げられるようになることが、大きなメリットでしょう。
ほかにも、次のようなメリットが考えられます。
顧客情報の収集・管理が可能になる
ネットショップや、実店舗でもチェーン店の場合、ポイントシステムの利用条件として、「会員登録」を必須とするケースが少なくありません。そういったケースでは、顧客情報の収集や管理が可能になります。
収集した顧客情報の分析
ポイントシステムの機能によっては、顧客情報の収集だけではなく、顧客ごとの購入商品や時期、金額などの分析も可能です。購買状況を分析することによって、次の販促企画を立てたり、顧客ごとにおすすめ商品の案内をしたりといった戦略につなげることができます。
顧客満足度の向上
リピート購入した顧客に対して、購入金額の割引や、オプションの付与といったサービスを提供できるため、顧客満足度の向上が期待できます。
ポイントシステムの導入費用相場
ポイントシステムを導入する際の費用相場は、実店舗とネットショップでは異なります。また、ネットショップの場合はさらに、「モール」「レンタルカート」「独自開発」で費用が大きく変わってきます。
いずれの場合も、状況により費用は異なるため、利用前に業者に必ず確認が必要です。おおよその費用相場は以下のとおりですが、あくまでも参考情報であり、実際にかかる費用は異なる可能性があります。
実店舗の場合
実店舗でポイントシステムを導入する場合、手法によって費用は大きく異なります。
例えば、個人経営の店舗で見られる「来店ポイント」といったものであれば、名刺サイズ程度の紙にスタンプを押印する枠を書いて印刷するだけですむため、かなりコストを抑えることができます。
カードリードライタを導入する場合は、初期費用に12、3万円程度と月々にカードの費用がかかってきます。カードは枚数により異なり、1枚あたり数十円から200円弱程度までとなります。アプリを利用する場合は、初期費用が数万円程度あるいは場合により無料になるケースもありますが、月々に数千円から数万円程度かかります。
ネットショップの場合（モール）
楽天やYahoo! ショッピングのようなモール形式の場合、導入費用はかかりませんが、売上金額の1～15%がポイント原資として毎月かかります。基本的にカスタマイズはできません。
ネットショップの場合（レンタルカート）
独自店舗のネットショップでレンタルカートを利用する場合、最近では、導入自体は無料で売上金額に応じて課金されるタイプが増えています。レンタルカートもモールと同様、基本的にカスタマイズはできません。
ネットショップの場合（独自開発）
独自店舗のネットショップでポイントシステムを独自で開発する場合、ゼロからスクラッチ開発する、もしくはASPを導入してカスタマイズするかの二択になります。
ゼロからスクラッチ開発するとなると、依頼する制作会社にもよりますが、1,000万円以上かかることもめずらしくありません。ASPを導入してカスタマイズする方法であれば、50～300万円程度となります。
ポイントシステム選定の際のポイント
ポイントシステム選定の際、まずはポイントシステムを使って何をしたいのかを明確にし、それを果たすには何が必要かを考えることが大切です。
例えば、購入金額に応じて割引をしたいだけの場合、実店舗であれば、一般的な機能のレジですみます。ネットショップであれば、モールを利用する、またはレンタルカートを導入すれば目的は果たせます。
しかし、独自の特典を付けたい、会員専用ページで顧客自らがポイントの確認、利用をできるようにしたいといった場合は、カスタマイズが可能なASPやスクラッチ開発が必要になるでしょう。
自社においてポイントシステム導入のために使える予算を考え、目的を果たせる方法を検討しましょう。
ポイントシステムはコストを考慮して適切に導入を
今回は、実店舗やネットショップで導入可能なポイントシステムの概要やメリット、導入の際にかかる費用相場などを紹介しました。
目的を明確にし、それに対応できるだけのポイントシステムが導入できると、リピーター創出に大きな効果が見込めます。しかし、システムの導入や運用にコストがかり、当初の予算を超えるのは避けたいところです。
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