ひと口にシステム開発といっても、その種類はWebシステムや業務システム、スマートフォンアプリなど多様です。また、Webシステムひとつをとっても、会員制サイトやマッチングサイト、ECサイト、予約管理サイトなどいくつもの種類があります。Webシステムの種類ごとにどの程度の開発費用や保守費用がかかるのかを紹介するとともに、費用を抑えてWebシステムを開発するポイントについてお伝えします。
Webシステムの種類
Webシステムのおもな種類と内容を簡単に紹介します。
Q&Aサイト
ユーザーがサイト上で質問をし、ほかの一般ユーザーや専門家から回答を受けられるサービスです。回答の質を担保する意味もあり、質問や回答ができるのは会員登録をしたユーザーのみとなっているのが一般的です。
質問投稿機能や回答投稿機能のほか、いいねボタン機能やベストアンサー機能などが必要になります。おもな既存システムには、Yahoo! 知恵袋やOK Wave、教えて!gooなどがあります。
Q&Aサイトについての詳細は、「Q&Aサイトのつくり方から構築する際のポイント・注意点まですべて解説!」をご覧ください。
会員制サイト
芸能人のファンクラブや取引先専用の見積もりサービス、会員専用のECなど、会員登録をしたユーザーだけが閲覧できるコンテンツを提供するサービスです。
会員制サイトでは、会員登録・管理画面のほか、会員同士のメッセージのやりとり、セキュリティ管理機能などの開発を行います。これらは、このあと紹介する「マッチングサイト」「ECサイト」「サブスクリプションサービス」でも必要な基本的機能です。
会員制サイトについての詳細は「会員サイトに必要な機能や構築する際のポイントとは」をご覧ください。
マッチングサイト
登録しているユーザー同士をマッチングさせるサービスを提供します。「Webサイトのデザインを依頼したい 企業と仕事を探しているWebデザイナー」「地域移住を検討している人と地域移住者を誘致したい地方自治体」「結婚したい男女」など、マッチングの対象はさまざまにあります。会員制サイトと同様の機能が必要です。
ECサイト
自社の商品やサービスをネット上で販売するサイトです。
会員制サイトと同様の機能に加え、決済管理の開発が必要です。Amazonや楽天市場などのような大規模サイトから小規模なサイトまでさまざまなタイプがあります。
サブスクリプションサービス
毎月または毎年定額料金を支払うことで、商品やサービスを自由に利用できるサービスのことです。比較的新しいビジネスモデルのため、イメージしにくい人もいるかもしれませんが、代表的な既存サービスとしては、音楽配信サービスのSpotifyやApple Music、動画配信のNetflixやAmazonプライムビデオなどが挙げられます。
サブスクリプションサービスに関しては、「サブスクリプションサービスを始める2つの導入方法と3つのシステム開発手法」でも紹介しています。
予約管理サイト
ユーザーの予約情報を管理するサービスです。ホテルの宿泊予約やレストランの予約、エステや美容室の予約、ヨガやダンスといったレッスン・教室の予約管理・予約受付システムなどが、身近でニーズも多いでしょう。ホテル予約のじゃらんnetや楽天トラベル、施設予約のYahoo!ロコなどが有名です。
Webシステムの開発にかかる費用相場
前項で挙げたようなWebシステムを開発するのは、どのくらいの費用がかかるのでしょうか。外部に発注した場合の相場を紹介します。
ただし、費用は機能や開発の方法により大幅に異なるため、以下の相場はあくまでも目安です。実際に発注する場合は、必ず見積もりをとって判断してください。
Q&Aサイトの費用相場
会員登録機能や投稿機能などの基本的な機能のみを備えたシンプルなサイトであれば、300万円以内で構築可能でしょう。しかし、会員のモチベーションや回答率を上げる施策として、ポイントや賞金制度といったインセンティブ機能や検索機能を充実させる場合は、500万円近くかかる場合もあります。
会員制サイトの費用相場
必要な機能を一通りそろえる場合で250~300万円といわれます。かなりこだわったサービスにする場合は、500万円以上かかってしまうケースもめずらしくないようです。
マッチングサイトの費用相場
機能の充実度に応じて400~600万円程度が相場です。「ユーザーが希望の相手を検索したりメッセージを送ったりできるようにする」「BtoBのマッチングサイトで、サイト内で発注の見積もりや決済までを行う」などの機能を加えると高くなる傾向にあるようです。
ECサイトの費用相場
必要最小限の機能であれば80万円程度から構築できますが、ある程度の機能をつける場合は、200万円前後が必要のようです。商品数や会員制機能、デザインなどさまざまな要素をカスタマイズすると、800万円以上かかる場合もあります。
サブスクリプションサービスの費用相場
サブスクリプションサービスは、既出の会員制サイトやECサイトの機能にプラスアルファの機能を追加することと考えます。例えば、「会員制サイトにショーケース機能と毎月の決済機能を追加する」「ECサイトに会員制サイトの機能を追加する」などです。相場は、会員制サイトやECサイトより高めの水準といえます。
予約管理サイトの費用相場
予約管理サイト構築にかかる費用相場は、予約する対象や範囲によって大きく異なります。エステティックサロンやヨガ教室などの自店舗のみの予約管理であれば、無償で利用できる予約システムを活用する方法もあります。外部に構築を依頼すると、一般的にはシンプルな機能だけに絞っても200~400万円近くはかかるようです。
Webシステム開発を効率的に行うためのポイント
前述のとおり、Webシステム開発を外部に依頼すると、規模や内容によるものの、通常200万円以上はかかることになります。少しでも開発費を抑えてWebシステム開発を行うにはどうすればいいでしょうか?ポイントを紹介します。
システム開発会社にゼロから丸投げしない
システム開発会社にゼロから開発を丸投げし、あとから修正や改善を依頼すると、費用に加えて時間も増大してしまいます。
事前に、どういったWebサイトを構築したいのかを社内で検討しましょう。サイトのイメージをできるだけ具体化し、要件定義をしたうえで発注をすることが大切です。これを行うことにより、費用と時間を大幅に抑えられます。
システム開発会社に発注する前に、ぜひ「システム開発の工程はどのように進むのか ‐ 発注側のための基礎知識」をご一読ください。発注側も知っておきたい基礎知識を紹介しています。
CMSを利用する
基本的にフルスクラッチでWebシステムを構築すると、かなりの高額となってしまいます。しかし、WordPressやDrupal、WiX、JimdoのようなCMSをベースに開発を進めれば、費用を抑えることが可能です。CMSによっては、プラグインでさまざまな機能を追加できるため、多機能なWebシステムであっても、比較的費用をかけずに開発できる場合があります。
また、マッチングサービスやECサイト、サブスクリプションサービスなど、専用のWebシステムサービスもあるため、それらを活用するのも費用削減方法のひとつです。
ECサイトの場合はモールを活用する
ECサイトの場合、楽天やYahoo!ショッピングなどのモールを利用すれば初期費用は無料、必要な場合も10万円以内ですみ、大幅な費用削減が可能です。ただし、システム使用料やポイント還元の負担などが発生する場合があります。
VALUE KITを利用する
CMSやモールを利用すれば費用は抑えられますが、カスタマイズの自由度は限られてしまいます。そのため、競合他社との差別化という点では、少なからずデメリットが生じてしまうでしょう。
そこでおすすめなのが、発注した段階ですでに7割が完成しているWebシステム開発サービス「VALUE KIT」です。VALUE KITでは、会員制サイトやマッチングサイト、サブスクリプションサービスなどWebシステムを開発する際の機能が備えられていて、必要に応じて簡単に機能を追加することが可能です。もちろん管理運用のための機能もあるうえ、カスタマイズの自由度は高く、残りの3割部分を開発すればよいため、費用削減も実現します。
VALUE KITで費用を抑えてマッチングサイトを構築した事例も紹介しています。ぜひ「日本古来の「金継ぎ」に新しいムーブメントを起こすCtoCマッチングサイト」をご一読ください。
見落としがちな「保守費用」も考慮しよう
Webシステムを開発する際、つい開発にかかる費用だけを考えてしまいがちですが、あわせて考えておかなければならないのが保守費用です。例えば「Q&Aサイトやマッチングサイトで利用者が投稿できなくなった」「予約管理サイトで予約確認ができなくなった」などのトラブル対応を依頼するには、保守の契約が必要になります。
一般的に保守費用の相場は、開発にかかった費用の15%程度といわれます。けっして安くはありませんが、万が一のことを考えて、保守費用も考慮したうえで開発費用の計算を行う必要があります。
Webシステム開発費用削減のポイントはやりたいことを明確にすること
今回、おもなWebシステム開発の種類と費用相場について紹介しました。しかし、実際にかかる費用は、依頼する規模や内容、業者などさまざまな要素により異なります。検討の際は、必ず見積もりをとって判断するようにしましょう。
正確な見積もりをとるためには、自社でどういったWebシステムを必要とし、どのように運用したいのかを明確にすることが重要です。また、最初から費用削減にばかり目を向けるとニーズに合わないシステムになってしまう恐れがあります。必要な機能を確保したうえで、どのような費用削減が可能なのかを考えることが大切です。