60万人のデータを持つことで、レジャー施設のマーケティングはこう変わる|那須ハイランドパークの導入事例に見る5つの可能性

あなたの施設の来場者データは、いま誰の手にあるか

年間60万人が来場するレジャー施設でも、「どこから来ているのか」を長年把握できていない。そんなことがあり得るのでしょうか。

あり得ます。大手チケット販売SaaSを利用していると、来場者データはプラットフォーム側に蓄積されます。施設が見られるのは売上の集計値だけです。那須ハイランドパーク(栃木県)の担当者は「顧客データはSaaS側で管理されるため、どこから来たお客様なのかといった都道府県別で分析ができない」と振り返っています。マーケティングは「3K(勘と経験と根性)」に頼るしかなかったと話されていました。

2024年、7社のコンペを経て自社チケットシステムへ移行した那須ハイランドパーク。那須ハイランドパークはデータを持てた先に何が見えてきたのでしょうか。

この記事では、来場者データを自社で持つことで広がる可能性を示します。コストの話も、現場の苦労話も、ここには出てきません。純粋に、データを手に入れた施設がどんな未来を描けるか、その地図だけを示します。

可能性1:どこから来ているかが分かると、何が変わるか

マーケティングが「勘」から「地図」に変わる

来場者の都道府県別の分布が可視化された瞬間、施設の世界が変わります。北関東の施設だから、地元の栃木・茨城・福島の客が多いはず。でも実際は、あなたの想像以上に周辺地域からの来場者がいるかもしれません。自社データを持って初めて、そのことに気づく施設が少なくありません。

この発見が持つ意味は大きいです。首都圏からの来場者が多ければ、東京・神奈川向けのWeb広告に予算を集中させる根拠ができます。東北からのファミリー層が増えているなら、夏休みに合わせた宿泊セット企画が考えられます。

逆に言えば、データがなければこの判断は永遠にできません。なんとなく東京向けのWeb広告を打っているのか、分析の結果、東京からの来場が多いから打っているのかで、施策の精度はまったく異なります。

来てほしい人に届けることができるようになる

都道府県別で分析ができると、さらに別の打ち手も見えてきます。たとえば「宮城・岩手からの来場者が意外と多い」と分かれば、東北の旅行代理店との連携や、東北方面へのSNSターゲティング広告が有効な選択肢になります。同日に家族ぐるみで来ているなら、グループ割引を前面に打ち出した企画が考えられます。

データは発見の道具です。勘では気づけなかったことを、数字が教えてくれます。

可能性2:誰がリピーターかが分かると、何が変わるか

来場者の"顔"が見えていない現実

多くのレジャー施設が抱えている矛盾があります。「リピーターを増やしたい」と言いながら、誰がリピーターなのかを把握できていないのです。

大手チケット販売SaaSを通じた購入データは、プラットフォーム側に蓄積されます。施設には「いつ、何人来たか」という集計値しか届きません。昨年の夏に来てくれたあの家族は、今年も来てくれているだろうか。分かりません。それが多くの施設の現実です。

しかし、自社でデータを持てば話は変わります。

リピーターを可視化するとできること

自社チケットシステムから蓄積された来場データがあれば、次のような分析が可能になります。

来場頻度による顧客セグメンテーション

来場者を「年間3回以上来場するロイヤル会員」「年1回のライト会員」「2年以上来ていない休眠会員」に分けると、まったく異なるアプローチが必要なことが分かります。

ロイヤル会員には、早期購入特典や限定イベントの先行案内が有効です。ライト会員には、「久しぶりに来てみませんか」という来場動機の再燃が必要になります。休眠会員には、施設の変化(新アトラクション、リニューアル情報)を届けることが再来場のきっかけになります。データなしでは、この3つを区別することすら不可能です。

年パス会員のエンゲージメント管理

年間パスポートを持っている会員が、実際にどのくらいの頻度で来場しているか。これを把握しているレジャー施設は、残念ながら多くありません。大規模施設でも、発行後の来場記録が一切残らないアナログ運用を続けているケースは珍しくありません。

3ヶ月来ていない年パス会員に対してクーポンを送ります。10回以上来ている熱心な会員に感謝のメッセージを送り、口コミを依頼します。こうした施策は、データがあって初めて実行できます。

那須高原りんどう湖ファミリー牧場(栃木県)では、自社チケットシステムへの移行で顧客属性の把握が可能になりました。担当者は「システムひとつで、まさかこんなに夢が広がるなんて思いもしませんでした」と語っています。

データを持つとはそういうことです。可能性の扉が開きます。

可能性3:来場パターンが見えると、何が変わるか

来場データが積み上がると未来が見えてくる

1年分のデータがあります。2年分のデータがあります。3年分のデータがあります。データが蓄積されるほど、来場パターンの精度は上がっていきます。

「ゴールデンウィーク後半は前年比で安定した来場増傾向がある」「メルマガを配信した翌週末の来場が配信前より多い」「特定エリアからの来場者は連休中に集中している」。こうした傾向が自社データから読み取れるようになると、施策の精度が変わります。

メルマガがお知らせからマーケティング施策に変わる

那須ハイランドパークは、大手SaaS利用時代にメルマガでのお知らせが困難だったと振り返っています。来場者のメールアドレスがプラットフォーム側に帰属していたため、施設から直接連絡を取ることができなかったのです。

しかし、自社でデータを持てば、これが変わります。

春休み前に「今シーズン最初の1日を」という告知を届ける。誕生日月に「特別なプレゼントを用意しています」とパーソナルに伝える。半年来ていない会員に「新しくなった人気アトラクション、見てみませんか」とリマインドする。

どれもデータがあって初めて成立する施策です。そして施策の結果もデータとして残ります。「あのメルマガは来場に繋がったか」「どのセグメントへの訴求が有効だったか」を検証し続けることで、マーケティングは改善のサイクルに入っていきます。

可能性4:ロイヤルカスタマーが特定できると、何が変わるか

優良顧客を特定することの価値

レジャー施設の収益は、来場者全員が均等に生み出しているわけではありません。毎月来て、グッズも買って、友人を連れてきてくれる顧客と年1回、入場料だけ払って帰る顧客では、施設への経済的な貢献度が大きく異なります。

前者を大切にすることは、ビジネスの基本です。しかし、誰が前者であるかが分からなければ、大切にすることができません。

RFM分析が示す本当に大切な顧客

自社データが蓄積されると、RFM分析(Recency・Frequency・Monetaryの頭文字)と呼ばれる手法が使えるようになります。 Recency(最終来場からの経過時間)、 Frequency(来場頻度)、 Monetary(購入総額)の3軸で顧客をスコアリングすると、本当に大切にすべき顧客が数値で見えてきます。

そのロイヤルカスタマーに対してできることはたくさんあります。先行情報の提供、VIP向けイベントへの招待、感謝の言葉。こうした「特別扱い」は、顧客のエンゲージメントをさらに高め、長期的な来場継続に繋がります。

さらに、ロイヤルカスタマーはSNSや口コミでの推奨者にもなりやすいです。「この施設が好きだ」という気持ちは、自然と周囲へ向かいます。それが新規来場者の獲得効率を高める効果を持ちます。

那須ハイランドパークが手に入れたもの

那須ハイランドパークは2024年、7社のコンペを経て自社チケットシステムにVALUE KITを選定しました。決め手は「クオリティ、セキュリティ、カスタマイズ性」の3点だったといいます。

導入後に初めて可能になったこと——それが「都道府県別の来場者分析」でした。

年間60万人以上が来場する那須ハイランドパークでも、長年「誰がどこから来ているか」を把握できていませんでした。パーク事業部マネージャーの千頭和仁氏はこう振り返っています。顧客データはSaaS側で管理されるため、どこから来たお客様なのかといった都道府県別で分析ができない。それほど、従来のチケット販売SaaSは来場者データを施設に開放してきませんでした。

自社データを持つようになった今、施設は初めて「どこに向けてマーケティングをするか」を根拠を持って決められます。勘と経験と根性に頼っていた経営が、データに基づく意思決定へと変わり始めました。

りんどう湖ファミリー牧場に夢が広がった理由

りんどう湖ファミリー牧場(栃木県)は、アルパカの飼育頭数が日本一の牧場型テーマパークです。2025年8月にシステムを導入し、顧客データの取得・属性分析が可能になりました。

「まだまだ始まったばかりですが、できることがどんどん増えていくのが楽しみです。システムひとつで、まさかこんなに夢が広がるなんて思いもしませんでしたよ」担当者の言葉が印象的でした。

この言葉に込められているのは、データを持つことへの期待です。来場者がどんな人たちで、どこから来ていて、どんな体験に満足しているか。それが分かれば、次の施策が生まれます。施策の結果がデータになり、また次の施策が生まれます。

そのサイクルが回り始めた施設には、勘と経験と根性の経営とは異なる確かさが生まれていきます。

可能性5:家族の成長に合わせた施策ができる

子供が育つ施設だからこそ、使えるデータがある

テーマパークや動物園のコア顧客は、子供を持つファミリー層です。この層には、他のビジネスにはない特徴があります。子供が成長するにつれて、体験できるものが変わっていくという特徴です。

3歳の頃は動物のふれあいコーナーが中心でした。5歳になると乗り物にも乗れるようになります。8歳になればジェットコースターが楽しめます。同じ家族が、子供の成長とともに求めるものを変えながら来場し続ける可能性があります。

これを施策に活かせるのは、来場データを自社で持っている施設だけです。小さい頃から来てくれている家族に、成長に合わせたアトラクション情報を届ける。そんな施策が実現します。

次の来場理由をデータがつくる

来場者の最後の購入から一定期間が経過したとき、自動的に「久しぶりに来てみませんか」という連絡を送ることができます。これをマーケティングオートメーション(MA)と呼びます。

自社データとシステムが繋がっていれば、施策の実行は人の手をほとんど必要としません。データが条件を判定し、自動的に適切なタイミングで適切なメッセージが送られます。

次の来場理由を、施設が能動的につくる。これがデータ活用の到達点のひとつです。

データが開く、5つの扉

動物園、水族館、テーマパーク、観光牧場、レジャープール。業態は違っても、来場者データが持つ可能性は共通しています。

データで見えること 実行できる施策の例
どこから来ているか 出発地に合わせたターゲット広告・旅行会社連携
誰がリピーターか セグメント別リテンション施策・休眠会員の再活性化
誰がロイヤル会員か VIP優遇・先行案内・口コミ推奨の依頼
来場パターンの傾向 需要予測に基づくイベント・キャンペーン設計
家族の来場履歴 子供の成長に合わせたアトラクション案内・MA自動送信

これらはすべて、来場者データを自社で持って初めて実行できることです。大手チケット販売SaaSを通じた販売データは、プラットフォーム側に帰属します。施設が見られるのは、売上の集計値だけです。その一方で、自社システムで販売されたデータはすべて施設のものです。誰が買ったか、いつ買ったか、どこから来たか。その情報を活用するかどうか、施設が自由に決められます。

データは施設の未来をつくる

2000年代の小売業では、ポイントカードによる顧客データの収集が競争優位の源泉になりました。2010年代のECでは、購買データに基づくレコメンドが顧客体験の中心になりました。

レジャー施設は、その波に乗り遅れているといわれてきました。チケット販売の仕組みが変わらなければ、顧客データは手に入らないからです。しかし今、状況が変わっています。

自社でチケット販売システムを持てる選択肢が、現実的なかたちで手に入るようになりました。チケットを売るたびに来場者データが積み上がり、それが施設の資産になっていきます。データは一度取得すれば消えません。来場者が増えるほど、蓄積するほど、分析の精度は上がり、施策の可能性は広がります。

年間60万人。その一人ひとりがデータになります。そのデータが、マーケティングを変え、リピーター施策を変え、ロイヤルカスタマーとの関係を変えていきます。

データは施設の未来をつくります。それは自社が持てる時代になりました。

来場者データを「施設の資産」にするには

本記事で示した5つの可能性は、来場者データを自社で持つことで初めて実現します。

VALUE KITチケット販売は、レジャー施設・テーマパーク・観光牧場に特化した自社チケットシステムです。那須ハイランドパーク、りんどう湖ファミリー牧場をはじめとした施設での稼働実績があります。チケットが売れるたびに来場者データが自社に蓄積され、施設の資産になっていきます。

導入のハードルも低く、初期費用0円で始められます。特定チケットのみのお試し導入にも対応しており、既存システムと並行して運用しながら効果を確かめることができます。まずはお気軽にご相談ください。 VALUE KITチケット販売について詳しく見る

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