「デジタルで完結するサービスなのに、想定外なアナログ需要が生まれた」Webサービスの世界ではよくある話です。テクノロジーによって「手続きの面倒くささ」を極限まで減らしたはずなのに、ユーザーが最後に求めたのは、意外にも人の手による泥臭い対応や紙の手触りだったりします。便利になればなるほど、人はどこかで割り切れない温もりや安心感を求めてしまうのかもしれません。
今回ご紹介する「選べるe-GIFT」は、全日空商事株式会社が運営するデジタルギフトサービスです。選べるe-GIFTでは、利用者が増える過程で当初は想定していなかったアナログ需要に応えることになりました。この記事では、最小限のシステム開発でアナログ需要に応えた過程と、誰でも直感的にPDFファイルを編集できる機能について解説します。
デジタルギフトを紙のカードに変換したい
全日空商事株式会社(以下、全日空商事)が運営する「選べるe-GIFT」は、受け取った人が自由に商品を選べるデジタルギフトサービスです。オンラインストアでは最大29種類の電子マネーやポイントなどの中から好みの金券を選択して受け取ることができる、選べるe-GIFTをお買い求めいただけます。お祝いやお礼などの個人利用はもちろん、アンケート謝礼や記念品といった法人での少量利用にも対応しています。
選べるe-GIFTの送り方は、デジタルギフトのURLをメールやSMSなどで送付するというデジタルな流れです。離れている相手にも、思い立ったその場ですぐに贈れる。この手軽さこそが、選べるe-GIFTが提供している価値の一つでした。ところが、選べるe-GIFTの利用が広がるにつれて、こんな声が届くようになりました。
「購入したデジタルギフトカードを印刷して、直接会って手渡ししたい」
デジタルギフトカードを印刷して配るというのは、デジタルギフトが本来提供したい価値とは真逆の発想です。しかし現実には、誕生日や記念日のお祝いなど大切な人に直接手渡ししたい場面や、少人数の相手にちょっとした謝礼を対面で渡したい場面では、URLよりも紙のギフトカードの方が自然な流れです。そこでサイバーウェーブは、デジタルギフトカードをPDFファイルに変換する機能の開発に乗り出しました。
マウス操作でレイアウトを編集できる国産のオープンソース帳票作成ツールを採用
デジタルギフトカードを紙のカードに変換するためには、画面で見たときと印刷したときのレイアウトを一致させることが大前提です。課題への対応策として最初に検討したのは、CSSで印刷用レイアウトを一から組む方法でした。一般的なPDF出力では、専用のプログラミング言語を用いて画像やテキストをミリ単位でコードから配置していきます。しかし、この方法は細かい修正のたびにエンジニアに発注する必要があるため、外注費で運用コストが膨らんでしまいます。そこで調査を進めた結果、採用したのが、国産かつオープンソースの帳票作成ツールです。
この帳票作成ツールの最大の特徴は、PDFファイルのレイアウト変更をマウス操作のみで完結させられる点にあります。エディターに表示されている画像やテキストボックスなどをドラッグ&ドロップで配置することで、誰でも簡単にミリ単位でデザインを調整することができるのです。選べるe-GIFTでは、デジタルギフトカードに配置されたイラストやテキストボックス、QRコードがあり、購入者がメッセージを入力したりイラストを選択したりすると、対応している箇所にその情報が反映されておしゃれなデジタルギフトカードが仕上がります。
完成したデジタルギフトカードはA4のコピー用紙に4枚配置され、切り分けることではがきサイズのギフトカードとして使えるようになります。この方法によって、メールやSMSで送ることを想定していたデジタルギフトを、対面でのお祝いやちょっとした手渡しの場面でも活用できるようになりました。マウス操作のみで完結する仕組みであれば、文字の大きさや背景色の変更、レイアウトの調整などをプログラミング経験のない現場の担当者でも行うことができます。この帳票作成ツールの導入によって、プログラミングの知識が必要とされていた印刷物のレイアウト変更のハードルをぐんと下げることに成功しました。
ありのままをお伝えすると、今回使用した帳票作成ツールで行えるレイアウトには限界があります。例えば、点線のデザインには対応していません。要件にあった「ギフトカードの枠のデザインに点線を採用したい」というご要望には、点線の透過画像を作成し、その画像を配置することで解決しました。また、フォントの種類にも限界があるため、選べるe-GIFTで利用しているフォントにもっとも近いデザインのフォントで代用しています。さらに、文章量によってはテキストボックスのレイアウトが崩れてしまうため、メッセージ画面で入力できる文字数に制限を設けることで、レイアウトが崩れないように制御しています。
VALUE KITは積み重ねた知見で多様なビジネス課題にお応えします
サイバーウェーブでは、自社プロダクト「VALUE KIT」をもとにシステムの受託開発を行っています。VALUE KITは会員管理や決済管理、CMSといった多くのシステムで使うさまざまな機能を独立した部品(キット)としてご用意した独自の開発手法。必要に応じてキットを組み合わせることでサービスの70%を開発、残りの30%をカスタマイズに注力することでスクラッチ開発よりも短納期で費用対効果の高いシステム開発をご提供します。
VALUE KITの最大の特徴は、キット開発による高い拡張性です。最初からすべてを開発するのではなく、必要な機能だけでサービスをリリースし、ビジネスの成長や利用者のニーズに合わせて、後から機能を追加できる設計になっています。今回ご紹介した全日空商事株式会社の「選べるe-GIFT」のように攻めの柔軟拡張で貴社ビジネスのスケールをご支援します。
「既存のサービスに新しい機能を追加したい」「利用者のニーズが変わり、システムのアップデートが必要になった」「まず小さく始めて、段階的に育てていきたい」といったニーズに柔軟に対応できるのがVALUE KITの強みです。まずはお気軽にご相談ください。お問い合わせ