導入事例
藤和那須リゾート株式会社 那須ハイランドパーク

大手チケットSaaSからVALUE KITに切り替え。 月額利用料の削減と業務改善を同時に実現し、 初期開発コストを年内回収!

【左】藤和那須リゾート株式会社 那須ハイランドパーク パーク事業部 マネージャー 千頭 和仁氏 
【中央】サイバーウェーブ 代表取締役 梨木 繁幸
【右】藤和那須リゾート株式会社 那須ハイランドパーク パーク事業部 営業Ⅰ・営業Ⅱ グループ長(チケット・営業・広報) 相河 友二氏

北関東最大級の遊園地として知られる栃木県の那須ハイランドパーク。周囲を森林に囲まれた広大な敷地には、約40種類のアトラクションとワンちゃんが遊べる施設を備え、週末やゴールデンウィーク、夏休みなどには大勢のゲストが県内外から訪れる。そんな那須ハイランドパークでは従来利用していたSaaSのチケットシステムをやめて自社システムの構築を検討、2023年にサイバーウェーブへとシステム開発を依頼した。

今回は、当社代表取締役の梨木 繁幸が那須ハイランドパーク パーク事業部のマネージャー 千頭 和仁氏とチケット関連の責任者 相河 友二氏を訪ね、コンペで案件獲得に至った経緯からシステムの内容、実際の効果について伺った。(以下敬称略)

SaaSのチケットシステム利用から自社システムの開発へ

—SaaSのチケットシステムを導入した理由をまずは教えてください。

千頭:まず、コロナ禍前は、国内レジャー施設のチケット販売の9割以上が手売りという状況で、当社でも相変わらず手売りを続けていました。会社トップは、そろそろ3K(勘と経験と根性)から2D(デザイン×データ)経営へ転換せねばならないという意識あったようです。

相河:そこで、旅行予約サイトなどの利用を経て、コロナ禍で非接触販売に対応するためSaaSのチケットシステムを利用し出しました。

千頭:ところが、顧客データはSaaS側で管理されるため、どこから来たお客様なのかといった都道府県別で分析ができない。お得なチケットをつくってもメルマガでお知らせすることも困難。当然ながら、月額手数料もかかりますし…。

相河:あとは、新しいチケットの登録に時間がかかるという問題も。例えば、明日から販売したいチケットがあったとしても、1週間くらい前に用意して、SaaSの運営会社に依頼する必要がありました。

千頭:コスト削減はもちろん自分たちでカスタマイズしたい、チケット販売のスピードアップを図りたいなどの理由で自社システムの開発を検討することになりました。

那須ハイランドパーク WEBチケットストア

判断材料を多数提示してくれて、正式発注前から安心感があった

—サイバーウェーブにシステム開発を発注した経緯をお聞かせください。

千頭:我々はシステム開発会社とのパイプがなかったので、ビジネスマッチングサービスを利用しました。

相河:案件内容を提示したところ7社から手が挙がり、そのうちの1社がサイバーウェーブさんだったという訳です。

梨木:マッチングサイトからの大量の案件情報を毎日確認し、今回の案件を探し出したときは、「これは絶対うちでやる!」と意気込んでコンペに応募しました。なぜかというと、当社の方針として2023年度にVALUE KITの会員機能と決済機能を戦略的に強化することを決めていたからです。

千頭:そういう想いがあったのですね!実際、クオリティ、セキュリティ、カスタマイズ性の3点において、サイバーウェーブさんの提案が他社と比べて群を抜いていたんですよ。

梨木:そうでしたか!光栄です。

相河:SaaSでは不可能なカスタマイズが自由にできるという点も我々の要望に合っていましたしね。見積金額は格別安くはなかったのですが、まず開発費と運用費がペイできそうでしたし、中長期的にビジネスを拡大できそうだと感じましたね。

—7社コンペの準備はどのように進めたのですか?

梨木:エントリーから1週間後に会長プレゼンが決まっていたため、急ピッチで提案書を作成しないといけなかったんですよね。毎日のように電話やオンライン会議でお話を伺い、詳細かつ鮮明に100枚くらいの提案書を作成しました。

相河:ヒアリングではこちらの曖昧な要望をすぐ理解してくれて、「こういうイメージですよね?」と提案してくださったのを覚えています。どんどんやりたいことが見えてきて、システムが完成するイメージが湧きました。この調子だと実際の開発もスムーズに進められそうだと。あとは、私たちにもわかる言葉で説明してくださったのも良かったです。なにせシステム開発に関してはまったくの素人ですので…。

千頭:だいたいの業者さんは労力もコストもかかるので、正式発注前に要件定義やモデル図を作成しないのですが、サイバーウェーブさんはそこをしっかりとやってくれました。判断材料がたくさん揃ったので、稟議が通しやすかったです。初めて取り引きする業者さんだから、探り探り進めるのが普通だと思っていたら、最初から身を委ねられる安心感がありました。

VALUE KITを使えば、コスト削減が目指せると実感

— VALUE KITを使って開発することを知り、どう感じましたか?

千頭:サイバーウェーブさんからは、提案時に独自プロダクトのVALUE KITでつくると言われました。VALUE KITって何だ?と思ったら、他社は10割すべてを開発するところ、7割をすでに用意されているキットを使うと。つまり、新規開発は3割で済む。すると、工数が圧縮され、コスト削減につながる。しかも、運用開始後に会社の方針やゲストのニーズに合わせてキットを組み替えることもできるし、機能を追加することもできる。なるほど!と思いました。しかし、他にはないシステム開発手法なので多少の不安はありましたね。

相河:正直言うと、私はシステム自体よくわからない人間なので「キットでつくるのか」という程度の感想でしたが、初期段階で内部設計、外部設計を図にしてくださったので、先が見えて安心できました。

SaaSの使い勝手はそのままに、もぎり時間を1日4時間削減

—どのようなチケットシステムをつくったのでしょうか?

千頭:それまで使っていたSaaSが社内で浸透していたため、似たような使い勝手にしてほしいとリクエストし、そのうえでWEBチケットストアを構築。アカウント登録とチケット販売をできるようにしてもらいました。

相河:複数のチケット購入に関しては課題がありましたので、そこは調整してもらいました。以前、①入園のみの入園券と②入園+乗り放題セット券の2種類をまとめて販売するときに、①を“もぎって” (もぎる:発券したチケットを使用済みにして入場を許可すること)から一旦マイページに戻らなければいけませんでした。それをまとめてもぎれるようにしてもらいました。現場のオペレーションミスがなくなり、ゲストをお待たせしなくなりました。

千頭:キャンセルもラクになりましたね。家族でチケットを購入したのに、お父さんが仕事で来られなくなるなんてよくありますよね。そういうときは、スマホから一旦、家族全員分をキャンセルし、再購入してもらっていたのですが、正直、手間ですよね。これを、来られなかった人の分だけキャンセルできるようにしてもらいました。

相河:チケットのもぎりは、スタッフがゲストのスマホにパスコードを入力するのですが、以前は、まず文字入力用のキーボードが自動で表示されていたのです。すると、テンキーに変換しないとパスコードの入力ができない。これを電子チケットの画面を立ち上げると同時に自動でテンキーが開くようにしてもらいました。些細なことではありますが、もぎりにかかるスピードがアップ。繁忙期は、スマホがつながりにくくて余計に時間がかかります。例えば、1日のゲストが3,000人として、ひとりあたり5秒縮まれば4時間も時間短縮になりますからね。アルバイトのシフトもより効率良く組めますし、人件費も抑えられます。

—その他、どのような機能を追加しましたか?

相河:年間パスポートの顔写真アップロードの際、被写体の大きさをゲストが自分で変えられるようにしてもらいましたよね?

梨木:はい。数年前に国家試験の申し込みのシステム構築をしたのですが、その際に得られたノウハウであらかじめキットをつくっていたのです。

千頭:顔写真のサイズが揃うようになったことで、一覧での閲覧がしやすくなりました。

相河:別のシステムに登録している年間パスポートの個人データをVALUE KITから自動で登録できるようにもしてもらいましたね。それまではSaaSからCSVエクスポートをして、いらない行を削って、写真を調整して、別のシステムに入れ直していたんです。合理的ではなかったですね。梨木さんが事務スタッフにヒアリングして見つけてくれた課題でした。

梨木:ゲストも窓口のスタッフも容易に利用できることはもちろん、事務スタッフの生産性を上げることも大事だと思っていますので、直接ヒアリングさせて頂きました。

ゲストからの問い合わせにも不安なく、自社で対応

—サイバーウェーブに依頼していかがでしたか?

千頭:こちらからの疑問や懸念事項に対して、持ち帰って後日回答ではなく、だいたいがミーティングの場で解決できたことでしょうか。だから、プロジェクトが前へ前へと進む感じがしましたね。

相河:進行がとても早くて驚きました。サイバーウェーブさんからの質問に回答していたら、いつの間にか進行していた(笑)。あとは、我々が使っていたものと同じSaaSをわざわざ契約して細部まで研究してくれたり、「こうしたらもっと便利になるのではないか」とこちらの要望の120%の提案を頂いたりして、その都度、喜んでいました。

梨木:ありがとうございます。他のテーマパークや御社でベンチマークしている施設のチケット販売について研究し、どういう仕組みなら使いやすいかを考えてシステムに反映させました。

相河:そうそう、SaaSだとカスタマーセンターがあったので安心でしたが、新しく自社のシステムを構築するとなると、全部自分たちで対応しないといけない、大丈夫かなと不安でした。そこで、想定されるトラブルをピックアップしサイバーウェーブさんに質問。すべて、不安を打ち消すような回答を得られ、安心して使えるようになりました。

千頭:自分たちが主体的に関われて、サイバーウェーブさんと一緒に自らの手でシステムをつくりあげたと思っています。もしも、他の業者を選んでいたら、こんな風には思えなかったかもしれません。

相河:愛着のあるシステムになりましたね。

千頭:私としては、システム開発にかかったコストを比較的早期に回収できる目処が立ったのでほっとひと安心というところですね。

VALUE KITで、那須エリア全体の活性化に貢献

— 今後の展開についてお聞かせください。

相河:すでにサイバーウェーブさんと打ち合わせをしているところで、まずはこのチケットシステムでセット券を販売しようと考えています。現在のチケットは、入園券、入園+乗り放題セット券、年間パスポートの3種類ですが、入園券とランチのセット券や那須ハイランドパークの入園券と周辺施設とのセット券などを追加していく予定です。

千頭:周辺にあるホテルやレジャー施設と連携し、このホテルに泊まると那須ハイランドパークが安く利用できるなどのメリットを加えていきたいですね。そうすれば、多くの人が那須ハイランドパークだけでなく、さまざまな施設を利用します。那須エリアで手を取り合って盛り上げていきたいです。

梨木:それならば、ビジネスをスケールさせられるというVALUE KITの強みを最大限発揮できると思います。引き続きよろしくお願いします。

— ありがとうございました。

(取材: 2024年6月)