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【海外DX事例】BMWが顧客体験のデジタルトランスフォーメーションに大型投資

ドイツの自動車ブランドBMWは、2025年までの5年間にカスタマーエクスペリエンスのデジタルトランスフォーメーションに年間、数億ドル規模の投資を行う方針を明らかにしています。

どこからでも車を販売可能

販売やマーケティングの業務をデジタル化し、高級車セクターで顧客にシームレスなデジタルエクスペリエンスを提供することを目指しています。

新たな販売・マーケティング戦略では、新型コロナウイルス(COVID-19)発生時に開発された非接触型の販売プロセスを導入します。デジタル化により、60カ国以上に展開するセールス担当者が、どこからでも顧客にアドバイスを行い、BMW iXやBMW i4といった電気自動車(EV)、そして傘下のMINIを販売することが可能です。さらにこの機能を2021年中に、販売パートナーにも提供します。

BMWの顧客・ブランド・販売の責任者であるPieter Nota氏は、デジタルシステムによって見込み顧客を正確に絞り込めると考えています。「弊社のマーケティング戦略の重要な要素は、BMWの車に興味のある非常に有望なリードを大量に獲得することです。そして個々の顧客に適切なメッセージを伝えます」

BMWは80以上のデジタルエージェンシーと連携して、この精密なマーケティング手法を実行しています。

デジタル体験をアップグレード

BMWは、カスタム設定された車を顧客の自宅に配送するという、オンラインで購入が完結する仕組みづくりを行っています。一方でディーラーのネットワークは、引き続き販売やサービスで重要になるとしています。

また、運転支援システム、ライト・音響パッケージ、サスペンションなど、デジタルアフターセールスをアップグレードして設定可能な車両機能を拡大します。

顧客がBMWグループと個人データを共有してエクスペリエンスを最適化するオプションもあります。例えば「スマートフォンを車のキーとして使用」「AI音声アシスタントAmazon Alexaを車両と統合」といった機能が利用可能になります。

DXでAlibabaと提携

またBMWは、中国のAlibabaグループと戦略的デジタルトランスフォーメーションに関しての覚書を締結しています。ブランディング、マーケティング、情報技術(IT)など包括的な協力のもと、DX戦略をBMWの事業プロセス全体に実装することがその目的です。

BMWグループ中国のCEOであるJochen Goller氏は、次のように述べています。「継続的にデジタルイノベーションを加速するには、業界を越えた協力とオープンイノベーションが不可欠です。オンライン・オフラインのエンドツーエンドのデジタル体験プラットフォームは今後、トラフィックをBMWディーラーに誘導し、ビジネスの機会をより多く生み出します」

さらにBMWとMINIは、Alibabaのオンラインプラットフォームで会員サービスやマーケティングキャンペーンを実施し事業を加速させます。世界最大の自動車市場である中国でBMWは、デジタルトランスフォーメーションを強力に推し進めています。

BMWも“2025年の崖”を意識しDX推進

「2025年までに企業の既存システムがDX化されていないと、それ以降は最大で年間12兆円の経済損失が生じうること」を日本の経済産業省はDXレポートで「2025年の崖」と表現し、その克服を促しています。

モビリティ業界は、百年に一度の大変革期にあると言われています。BMWの業績は、旺盛な需要を受けて好調で、今後についてもEVの販売増加を見込んでおり楽観的です。グローバルに展開するBMWは、2025年を見据えてDX化で着実に前進しているようです。

参照:

BMWがデジタルトランスフォーメーションに「数億ドル」を投資(Marketing Week)

AlibabaとBMWが戦略的デジタルトランスフォーメーション覚書に署名(Business Chief APAC)

DXレポート ~ITシステム「2025年の崖」克服とDXの本格的な展開~(経済産業省)

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